amiens international

 また、メンタルモデルの考え方は、認知過程をスムーズにするだけではなく、自然な操作感・気持ちの良いデザインの開発といったことにも適用できます。

 例えばiPhoneを起動するときのタッチパネル画面に、スイッチの絵柄が現れます。そのスイッチが左側にあるとiPhoneはロックモードであり、全ての操作は無効になります。これを使うときにはスイッチを右側に動かし、ロックを解除しなくてはなりません。

 このスイッチの絵柄、ゆっくり左から右に動かすと、カッチリと右側に収まるのですが、勢いよく動かすと、いったん右側に着いたあと、勢い余ってポンポンと跳ね返ります。

 この様子は見ていてとても面白いのですが、よくよく考えてみると、勢いよくぶつかった何かが跳ね返るという現象はモノとモノの間に作用する物理の話であり、このスイッチのように電子的な画像イメージには関係ありません。

 しかし、iPhoneでは「勢いよくぶつかったものは跳ね返る」という物理ルール上のメンタルモデルを、あえてこの電子的なユーザインターフェース上で再現して見せることにより、小気味よい操作感を実現している、というわけです。

 同様に、これもアップル製品の話ですが、旧型iPodの操作ホイールを回転させると、ヘッドホンから「カタカタ」という音がしました。この音は回転の速さに応じてピッチが変わり、ホイールを回している実感と合った鳴り方をします。

 この音もiPhoneのスイッチと同様、本来ならば鳴るはずのない電子的な音です。しかし、「ホイールを回すと音が鳴る」というメンタルモデルに気持ちよく応えるユーザインターフェースを実現するために、このような設計になっているのだと思います。もしこの「カタカタ」がならない設計になっていたら、けっこう気持ち悪くありませんか。

「アップル製品はなぜ“気持ちいい”?」−認知科学で考える - ヒット研究所 - 日経トレンディネット

 

  1. fujihajime reblogged this from allgreendays
  2. seinon reblogged this from amiens2009
  3. allgreendays reblogged this from amiens2009
  4. amiens2009 posted this
To Tumblr, Love Metalab