少し前、ある医師のブログ記事を読みました。
医療の世界で当たり前のように行われている「慣行」に対して、強く反対するものでした。周囲の医療者(さらには患者にも)にはあまり賛同されないらしく、憤りや焦りのようなものが、行間からにじみ出ていました。
医療の現場を知らない私には、件の医師の考え方が妥当かどうか、判断できません。ただ非常に危うい感じがしたのは確かです。この方が高い理想を持ってお仕事をしておられるのは伝わってくるのですが、現場では空回りにつながるのではないか、と。そして患者や家族の立場として見ると、彼には「理想の医療」を押しつけられるような感じがしたんです。
実際にはこの方も、臨床の場ではブログほど信念を前面に出してはいないのかもしれません。ただ自分の仕事に理想や、もっと言うと正義のようなものを持ち込むのは、独善に陥る危険があるな、と自戒したことでありました。「・・・であるべき」という考え方はやめて、できるだけ高いレベルで「自分はどうしたら役に立てるか」を問うべきなのではないでしょうか(これ自体、べき論ですが・・・)。