「ゼロリスク」という幻想

投稿者: | 2012-04-15

日本社会を覆う風潮で、好ましくないと思っているものがいくつかあります。

このブログでたびたびネタにしている個人情報過保護もそうですが、安全・安心を過度に求める風潮もその一つです。「ゼロリスク」を求める風潮とでも言いますか。

食の安全・安心、健康をめぐる安全・安心、生活の安定についての安全・安心。そして昨今であれば、放射性物質をめぐる安全・安心。それら求めること自体は、当たり前でしょう。ただコストなど他の要素を度外視してまで安全・安心のみを追求するのは現実的ではありませんし、ほとんどの場合、目先のリスク以外の「知らざるリスク」を招くという点で、愚かですらあります。

この世で生きるということは様々なリスクと背中合わせです。一切のリスクをゼロにしたいのなら、この世とオサラバするしかないでしょう。生きていくつもりがあるなら、リスクとどう向き合うか、を考えるべきです。どのリスクなら、どの程度まで取れるか。リスクを抑えるにはどうしたらいいか。リスクが現実化した時に実害を最小限にするにはどうするか。などなど。

私は日本社会にもっと成熟してほしいと思っていますが、リスクとの上手な付き合い方をみんながある程度会得することも、その条件の一つと考えます。もとより私も、この点では修業中の身ですが。

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