知的生産性の方程式「Do more with less」――時短への誓い8カ条結果を出して定時に帰る時短仕事術

成果は仕事の質と量の「かけ算」だから、質がゼロ(完全にNG)の場合は、量が多くても成果はゼロ。時間あたりのアウトプットの量を増やしても、質がともなわないと知的生産性は低いということ。

» 2010年06月28日 13時21分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 生産性を語る場合には、なるべく少ない労力で、なるべく多くの成果を目指す「Do more with less」の精神が基本となります。そのためにも、まずは知的生産性の方程式を頭に叩き込んでおきましょう。知的生産性とは、時間を分母に、仕事の質×量を分子にとった、単位時間あたりの成果です。同じ成果であれば、かけた時間が短いほど生産性が高いということになりますし、同じ時間であれば、質×量が多いほど、生産性が高いことになります。

より少ない時間で、質と量を高めることが知的生産性の方程式。しかし、常に質が十分でなければ、どんなに量をやったとしても価値は高まりません。経験とともに量から質への転換が必要です。

 しかし、ここでポイントとなるのは、成果はあくまで仕事の質と量の「かけ算」ですから、質がゼロ(完全にNG)の場合は、量が多くても成果はゼロということです。どんなに時間あたりのアウトプットの量を増やしても、質がともなわないと、知的生産性は低いということになります。

はじめから生産性を高くすることはできない

 この方程式を見れば一目瞭然ですが、質を上げ、量を上げ、それに費やす時間を減らすことが生産性向上の基本アプローチになります。しかし、最初から消費時間を減らすことばかり考えても、決して生産性は高くなりません。仕事の経験年数によって、アプローチは異なるべきです。

 誰でも、ある程度の経験値と量をこなさないと仕事の質は高まりません。

 成果の量を増やすべき過程で、それに要する時間を減らすことばかり考えていては、大きな成果を生み出すことはできません。経験の少ないビジネスパーソンは、最初は量産することを目指し、次に質を目指す、最後に時短を考えるという順番で時間管理をとらえるとよいでしょう。量が質を生むという時期を経ずして、いきなり質だけを求めるのは無理があるのです。

常に心に留めておきたい時短への誓い8カ条

 知的生産性を実際に高めていくためには、次の8つの約束を守ってください。詳しくは後述しますが、ここでは、そのエッセンスだけを紹介しましょう。

  1. 生産性向上のためには労力だけでなく、お金もかかります。これは費用ではなく、投資と考え、ある程度の出費には寛容になりましょう。
  2. 選択と集中をはかるためには、やるべきことを決めるだけでなく、何をやらないかを決めなければなりません。そして、目的のない活動に費やす時間を可能な限り排除しなければいけません。
  3. どんな大きなプロジェクトであっても、小さなステップの積み重ねにすぎません。まずやるべきことは、大きな仕事を1日で完了できる小さな仕事に細分化し、それを管理することです。すぐに実行でき、確実に完了できる大きさにするのです。
  4. 同じアクションを実行しても準備次第で、その成果は2倍にも3倍にもなります。準備で勝負の半分はついているといっても過言ではありません。
  5. 時間効率の代表的なテクニックの1つが、一度に複数のタスクを処理することです。単純に複数処理するだけでなく、同時にやることで相乗効果のあるタスクの組み合わせを見つけましょう。
  6. ITの使いこなしは目に見える生産性アップに直結します。PC、アプリ、ネットなどを研究し、使える機能は全部使い倒すくらいの心構えでちょうどよいのです。
  7. 勉強など分散投資する時間は継続しないと意味がありません。自分の時間割に組み込み、忘れていても、実行されるようなしくみ化が必要です。
  8. 1人のアウトプットはたかが知れています。自分だけの成果ではなく、チームの成果を最大化するという大局をにらんだ動きを心がけます。
知的生産性を高めるための8つの約束

集中連載「結果を出して定時に帰る時短仕事術」について

 本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。

 残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。

 ビジネスパーソンは、顧客の要望を上回る成果を出しながらも、自分の時間をしっかり確保して、プライベートの充実と自分の付加価値を高めるための将来に向けた事故投資を両立する必要があります。

 本書は、しっかり結果を出しながらも、将来の自分価値を高めるための「時短仕事術」を紹介しています。人生の価値感管理から日常生活のタスク管理まで、生産性戦争に打ち勝つためのテクニック満載です。

  • 1時間目:残された時間を価値あるものに
  • 2時間目:仕事も人生もうまくいく! 理想の時間割
  • 3時間目:最少の労力で最大の成果を上げる知的生産の方程式
  • 4時間目:必ず目標を実現する! スケジュール&タスク管理術
  • 5時間目:集中力が劇的にアップする!すきまアクションとじっくりアクション
  • 6時間目:時短の達人が教える! 生産性を高める小さな習慣
  • 7時間目:ITを味方につけなければ、生産性戦争に勝てない!
  • 8時間目:最短で問題解決するための時短思考のツール
  • 9時間目:チームの生産性が飛躍的に高まる! 時短会議のススメ
  • 資料編:時短の達人になるためのチェックリスト

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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