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iPhone用「ATOK」が登場!(1/2ページ)

2010年9月22日

  • 筆者:斎藤幾郎・西田宗千佳

写真画像1:「メモアプリ」として登場した「ATOK Pad for iPhone」。文字入力に「ATOK」を使う

写真画像2:書いた文章を「本文」としてATOKパッドからメールやツイッターに直接送信する機能もある。この選択画面はiPhoneを振ると表示される(画面をタッチしてメニューを出すことも可能)

写真画像3:テンキー入力に搭載された独自機能「リボルバータッチ」。指を下に一度スライドさせるだけで、「さしすせそ」が「ざじずぜぞ」に入れ替わる。文字の並び方が銃のリボルバー(回転式弾倉)を想像させることから命名された

写真画像4:独自入力機能のひとつ「ダブルトリガーキーボード」。左手で「かな」の行を選ぶと、右手の文字キーが入れ替わる。50音配列で「かな入力」をしたい人向き

写真画像5:QWERTYキーボード(パソコンのようなキー配列)で「Ctrl」キーを押すと表示される機能呼び出し画面。カーソル移動や「取り消し」「やり直し」、コピー&ペースト、辞書登録など機能を呼び出せる

写真画像6:キーボードの上に表示される変換候補の一覧を、指で画面上に向かってスライドさせると、いつでも候補一覧を全画面表示にできる。便利

写真画像7:ATOKパッドは、iPhoneの「App Store」で購入する。9月26日までは発売記念価格の900円

パソコン用のワープロソフト「一太郎」でもおなじみで携帯電話、ゲーム機などにまで搭載されているジャストシステムの日本語入力ソフト「ATOK(エートック)」が、高性能な携帯電話、スマートフォンの代名詞となっている、アップルの「iPhone(アイフォーン)」やiPod touch向けのメモアプリ「ATOK Pad for iPhone(以下、ATOKパッド)」になって登場しました。早速入手したATOKパッドの操作方法をはじめ、特徴をリポートします。(斎藤幾郎)

ATOK Pad for iPhoneの機能や操作がわかるフォトギャラリー

ATOKパッドは、ATOKが使えるメモアプリ

 22日にアップルのApp Storeで販売が始まったATOKパッド(画像1)は「文字入力にATOKが使える、メモアプリ」です。主に日本語の文章を書くためのアプリと考えていいでしょう。デザインは異なりますが、文字を書き入れるメモの部分は、iPhoneに標準で搭載されている「メモ」と見た目がよく似ています。あとでくわしく説明しますが、このメモアプリの最大の特徴は、文字を入力、漢字変換するためのキーボードの部分。ここが同社オリジナルの日本語入力プログラムである「ATOK」になっているのです。

 作成できるメモのページ数や、ひとつのメモあたりの文字数に実用上の制限はありません。入力したメモは直接、メールやSMS(ショートメッセージ)、ツイッター、データ保存サービス「Evernote(エバーノート)」などに転送できるようになっています(画像2)。

 メモの右上には入力済みの文字数も出ます(表示可能な数字は最大999)。現在1投稿あたり140文字までというツイッターの制限にひっかからないよう、文字数が確認できて便利です。

 文字入力には「ATOK」を使いますが、実は今回、日本語入力にATOKが使えるのはATOKパッドの画面内だけです。メールやSafari(ブラウザーのサファリ)など、他のアプリ上でATOKを使うことはできません。逆にATOKパッド上では、iOS(iPhoneの基本ソフト)標準の日本語入力が使えません。パソコン用ATOKと違い、「その機械での日本語入力すべてをATOKに置き換える」ことはできないのです。

 なぜこのような制限があるのかというと、iPhone/iPodタッチでは、日本語入力のように標準で搭載されている機能を置き換えるアプリの販売が認められていないからです。

 そのため、ジャストシステムは専用のメモアプリの中だけで動くATOKを作ったというわけです。

「本当なら各アプリでATOKを使えるのがベストですが、現状でそれは不可能です。専用アプリ上で使うしかありません。それなら、動作が軽くて素早く切り替えられるアプリを作って、書いた文章を必要なソフトにコピーできるようにしようと考えました。“文字を入力する”ための道具ではなく“文章を書く”ための道具を作ることにしたのです。ビュー(見る)→インプット(入力する)→エディット(編集する)→スロー(投げる=外部連携)という利用の流れを考えました。もちろん、標準の日本語入力を置き換えるATOKの開発もあきらめてはいません。」

 ATOKパッドの製品担当者である同社コンシューマ事業部の佐藤洋之さんは、製品開発の背景をそのように説明してくれました。

 実際使ってみると、確かに動作は軽快です。起動はもちろん、アプリの切り替えもクイック。変換効率の良さも含めて、標準の日本語入力より快適だと思えることも多いほど。

 また、開発責任者の齋藤大輔さんによると、ATOKを動かすには標準の文字入力機能(キーボード)を呼び出さないようにする必要があったため、通常のアプリであればOS(基本ソフト)の機能を呼び出すだけで作れるテキスト編集画面なども、一から自社で開発しなければならなかったそうです。そのため、画面デザインや操作性の一部がiOS標準のものとは多少異なっています。

 公式には「非対応」となっていますが、ブルートゥースキーボードでの入力もできました(あらかじめキー操作で「日本語ローマ字入力」をオフにしておけば、ATOKでの日本語入力が可能。ただし、予期しない不具合が起きる可能性はあります)。

 外部アプリからATOKパッドを呼び出し、文字入力が終わったらその内容を呼び出したアプリに戻す仕組みも用意されています。他社が対応すれば、アプリの「文字入力画面」としてATOKパッドを使えるようにもなるのです。

 さらに、他社のアプリにATOKを組み込んでもらうようなビジネスも、ジャストシステムでは準備しています。

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プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。

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