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山谷剛史の「中国IT小話」 第32回

ものを考えない、中国のインターネット世代「憤青」

2008年09月24日 10時00分更新

文● 山谷剛史

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中国語がある程度読めて、中国に片足を突っ込んでいて、ASCII.jpの記事を読んでいるような日本人なら、ときどきは中国のにぎわう掲示板を訪れ、中国人の考え方に触れる機会があるだろう。多くの人たちは中国の掲示板を読んで「幼稚な内容や非論理的な書き込みが多い」と分析する。筆者もそう感じる。

+αを加える日本のブロガー


 日本のインターネットにおいては、単に記事を読むだけでなく「誰もが感心するような数行の感想を、時に瞬時に書く」ことが評価されてきた。2ちゃんねるのまとめサイトで、面白いコメントが太字で強調されたり、はてなブックマークのスターなどはその典型だろう。

新しい中国人

山谷剛史氏の新著「新しい中国人」。ネットで加熱する中国の愛国主義をネットを通じて庶民レベルで俯瞰。中国のリアルな意識を紐解いている

 おそらく書き手の数倍はいる読み手も、当を得たツッコミをする。単に読むだけだけでも、そういった練習を知らず知らずのうちにしていると思う。筆者の知人で「自分も瞬時にうまい言葉で切り返すようになりたい」と話す人がいるが、そういう人も少なくないだろう。

 はてなや2ちゃんねるの利用者よりも、もうちょっと母集団を大きくし、ブログについて考えてみる。一次ソースになりうるエントリーをかける識者(αブロガー)の数は少ないが、それでも、気になるニュースを引用し、その見解を書いたり、今日の気になったニュースのURLを書いて、それぞれの記事に一言コメントするぐらいはする。ミクシィニュースもこうしたブログのスタイルに似ている。

 言ってみれば、日本のブログやCGMは、メディアの記事を誰もが素直に受け取るわけでないということを可視化している。しかし、日本のインターネット社会では至極当たり前のことが、中国では常識ではない。中国の個人メディアでは、メディアの記事をそのまま横流しするスタイルが一般的だ。

 もちろん中国のブログでも、気になったニュースを紹介する記事は多い。ただし、中国のブログでの気になったニュースの紹介方法は「ニュース全文のコピペ」が基本だ。

ニュース記事

ニュース記事

ブログも同じ文章となっている

ブログも同じ文章となっている

 中国では、自分のエントリーに感想や意見を書き添えるブロガーはまずいない。疑うなら、試しに百度中国に行き、適当なニュース記事のタイトルで検索してみるといい。ヒットした中文ブログのほとんどが、ニュース全文をコピペしたものであるのが分かるだろう。

 いくつか読者の感想が付いている場合はあるが、ほとんどは引用元のURLもなく、ただコピーされた記事があるだけだ。ブロガーの言いたいことは「気になる記事を見つけたよ。みんな見てね」ということであり、日本のように「気になる記事を見つけた。個人的にはこう思う」というわけではないのだ。

山谷剛史氏の最新著作:

新しい中国人~ネットで団結する若者たち
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