私はマーケティングがよくわかりません

マーケティングを知らないリサーチャーはマズイ。


そんな話をtwitterで見かけたのですけど、「マーケティング」ってこの場合、何なのでしょう?


JMAのマーケティングの定義とかそういう話じゃないと思います。
マーケティングの理論でしょうか?その場合、プライシング、ブランドマネジメント、店頭戦術、プロダクトマネジメント、広告戦術、流通戦略、生産管理・・・色々ありますね。
マーケティング理論を知ることも大変ですね。

それとも、事業会社での実務経験でしょうか?
これは理論を通じてだけでは得られないテクニックでしょう。
ここで得られることは、プロダクトあるいはサービスのタネを具現化し、実際に販売し、評価し、改善or撤退を主導する経験でしょうか。
(知識だけならば、本で補完できることも多いですが。)
その中で起こる社内調整なども重要な経験かもしれません。
ブランドの担当者は非常なプレッシャーをもって業務にあたっているように思います。それも実務経験で、僕は「マーケティング」のスキルであるように思います。(マーケティングを実践するOS的なスキルなのではないでしょうか。)
さらに、これらはFMCGやDCG、無形サービスでは随分異なるように思います。


さて、そんなマーケティングをリサーチャーはどこまで知ることができるのでしょうか?
事業会社のリサーチャーなら理論と実践両方経験できるのかもしれませんね。
では、リサーチ会社のリサーチャーは?


私の知っているリサーチ会社のリサーチャーは勉強熱心な方も多く、マーケティングの理論を本を、あるいは勉強の場を通じて学ぼうとしています。
また、クライアントとの業務を通じて、間接的に実務での知見を吸収しようとしている人もいます。
時々このような人はリサーチ会社の職務範囲を越えている、と見られることもあるようです。
(リサーチ会社のリサーチャーはリサーチのサプライヤーとして徹しろ、という言葉をWeb上で見かけたことがあります。それでも、学びつづける真面目な気質がリサーチャーにあるように思います。)


僕個人の意見としては、事業会社のマーケター・リサーチャーになり実際に事業を運営するプレッシャー下で経験を積まない限り、リサーチャーは「マーケティング」を「わかっている」状態になることは難しいと思います。


理論と実践には計り知れない溝があり、それを埋めていく必要があります。
リサーチャーの経験だけからはその体験はできないように思います。
あるいは、長年、クライアントと付き合っていくことで擬似的に経験できるかもしれません。
ただ、それには非常に長い時間と経験が必要なように思います。
あるいはこれは事業会社のリーサーチャーでも「マーケティングをわかっている」状態になることは難しいのかもしれません。


「リサーチ会社のマーケティングをわかっているリサーチャー」になるには、事業会社でマーケティングの実務経験を積んで、リサーチャーとして戻ることが近いのかも知れません。
僕もそのようなリサーチャーは非常に頼もしいと思います。
たとえ、FMCGメーカーのマーケ担当経験でも、それはDCGリサーチでも役に立つのではないかと思います。


僕はリサーチ会社のリサーチャーはマーケティングを知らないことに苦悩している人が多いと思います。
苦悩の末に、メーカーへ転職する人もいます。代理店に転職する人もいました。
私も苦悩していた時期がありました。
どれだけ勉強しても、実経験のなさから、「マーケティング」を語ることに自信を持てなかったからです。
ですから、転身する方は合理的な判断とも思いますし、転身せずにマーケティングを語るリサーチャーの胆力には敬意を表します。


私は「マーケティングがわかっていないリサーチャー」です。
でも、マーケティングを理解するために、転身することはないでしょう。
これからも、苦悩すると思います。
苦悩しながら、勉強をし続けると思います。


今日はここまで。