遺伝子組換え食品にかんする情報は、日本のマスメディアでは科学でないものに浸食されねじ曲げられることがしばしばだ。だが、アメリカも同様らしい。
The Dr. Oz Showという番組がある。Columbia University College of Physicians & SurgeonsのProfessor of Surgery、Dr. Mehmet Ozがホストを務める人気番組。Dr.Ozは、かの有名なThe Oprah Winfrey Showに5年間も出演し、晴れて2009年には、Oprahのプロダクションの制作による冠番組に進出した。立派なウェブサイトもあり、番組はエミー賞にもノミネートされている。視聴者も多いだろう。
このDr.Oz Showで昨年12月、遺伝子組換え特集があった。科学者をゲストに招いて科学的な議論を装ったのが、結局はトンデモ番組になってしまった。そして、ここからが面白いのだが、ゲストが番組出演後、どの部分の録画がカットされたのかなどブログで説明し、改めて科学を市民に伝えることの難しさや、どのような方法論をとったらよいか、などについて論じているのだ。
このトンデモ番組は、日本の遺伝子組換えをめぐる状況とも無縁ではない。日本の食品や農業関係者にとっても、極めて多くの示唆に富む番組であり、ブログの内容であるように思うので、紹介したい。
番組は、ネットでも視聴できる。わずか15分ほどの特集だ。そして、出演者した科学者のブログは、なんとも嬉しいことに、日経BPのFood Scienceで海外の遺伝子組換え情報を発信し続けた宗谷敏さんが、翻訳してくださった。私に「Dr.Oz Show 面白いよ。ブログも勉強になるよ」と連絡してくださったのも宗谷さんだ。