【コラム】大学院博士課程における徒弟制度廃止の真の狙い
ちょっと話題に乗り損ねてしまいましたが、まだ誰も指摘していないようなので。
“徒弟制度”や修士論文の廃止求める 大学院博士課程で中教審答申
産経新聞 1月31日(月)22時20分配信
中央教育審議会は31日、大学院博士課程で、院生が1人の教員に師事して研究を手伝いながら指導を受ける“徒弟制度”や、特定のテーマに絞り込んだ修士論文の廃止などを盛り込む大学院教育改革策を高木義明文部科学相に答申した。
博士課程修了者が民間企業で敬遠される傾向があり、国際社会で活躍できる人材育成も不十分という批判が出ていることから、幅広い分野の研究をさせることで、企業などが求める人材育成を目指す。答申を受け、文科省は具体的な制度改革の検討に入る方針。
答申では、博士課程の院生が、1つの研究室にだけ属して1人の教員から指導を受ける現行制度からの転換を提言。複数の研究室で指導を受けながら学位を取得するように求めている。
また、5年制の博士課程の2年修了時点で、特定の研究テーマについてまとめる修士論文を原則的に廃止。代わりに幅広い分野についてテストやリポート審査を行う「クォリファイング・イグザム」の導入を求めている。ただ、博士課程とは別にある修士課程は今後も存続するため、同課程での修士論文などは存続を認める。
新しい制度は、トップレベルの大学院教育を推進するために、各大学院の中から指定される「リーディング大学院」などで先行して導入される見通し。
「修士論文を原則的に廃止」
「幅広い分野の研究をさせることで、企業などが求める人材育成を目指す」
に注目しているエントリーが多いようですが、個人的に凄いなと思えたのは青でマーキングした部分です。
というのは、以前指摘したやり方をちょっとマイルドにしたような方法だからです。
【コラム】全く新しいテニュアトラックシステム - AMOKNの日記
この答申の真意はわかりませんよ。
でも、例えば、5号館のつぶやきさんのこのエントリーで100以上もコメントが付いていること。
東北大学大学院生の自殺 (とりあえず落ち着いてください) : 5号館を出て
また、同じく5号館のつぶやきさんのこのエントリー内容。
大学院生は利用され使い捨てられているのか : 5号館を出て
二つ目の方に関しては後で別途エントリーを立てますが、答申の背景にはアカハラによる自殺があるのではないかなと思ったりしたわけです。
私ですら、身近で4人も自殺で死んでいます。鬱病になった人も4人います。
原因はアカハラなのですが、立証が難しいというか、不可能なんですね。
録画や録音で証拠集め出来ればよいですが、そういう必要性があるときにはすでに鬱病になっていてそれどころでありません。引きこもっていることも多いです。死者にむち打つ結果となるのはいじめによる自殺と同じです。
よって、解決策としては教授とのコミュニケーションは全て録音録画することを義務化するか、システムを変更するしかないわけです。
とはいえ、録音録画はプライバシーの問題もあるし、現実的に不可能です。
よって、システムを変更するしかない。
それにはいつでもアカハラから逃げられる仕組みを作ることです。
強者と弱者の立場が固定されないようにすることです。
では、博士課程の院生が、1つの研究室にだけ属して1人の教員から指導を受ける現行制度からの転換をするとどうなるのか?。
アホな指導をする先生やアカハラ先生がハブられるようになります。
サブの先生は腐っても科学者ですから、やっぱり、変な指導をされていたら正直に指摘するんです。それが、メインの指導教官に対して攻撃的になることもあるし、マイルドになることもありますけどね。
で、もし、その学生が優秀だと分かったら、引き抜きにかかれます。
何故か、日本の大学院は授業料を払って、指導を受けています。その授業料は指導料として配属されているラボに配られます。金額は大したことはないですが、それでも、学生が配属されるとお金と労働力が得られるわけです。
その上、その子が優秀でありながら、変なテーマで、変な指導をされているとしたらどうしますか?
私ならうちに来なさいよと誘います。学生ももしアカハラを受けていたら、その誘いに乗るでしょう。
今回の答申もよもや、アカハラによる自殺を減らすためにしますなんて口が裂けても言えませんからね。この部分だけはちゃんと実行されることを期待します。
おまけに学生のローテーション制度と、ローテーションで幾ら学生を回しても学生が付かない先生のクビおよび降格人事がセットされたら尚良しです。