これは凄い発見です。
林原生物化学研究所の発表によれば、同研究所が2006年に発見した臍帯血(へその緒の中にある血液)由来の「HOZOT(ホゾティ)」という細胞に、癌細胞だけを選んで侵入し、内部から死滅させる性質があることを確認したとのことです。HOZOTは、免疫系のかなめであるT細胞であるため、癌細胞を殺す作用と、免疫抑制作用の2つの特徴を持つ、まったく新しいタイプのヒト血液細胞なのです。HOZOTは癌細胞だけを好んで、その中に積極的に侵入します。正常な細胞には侵入しません。
そしてHOZOTは侵入した癌細胞を道連れに死ぬのです。
この細胞侵入現象によって引き起こされる抗癌メカニズムは全く新しい細胞障害機構と考えられます。まさに奇跡の発見ですね。癌や自己免疫疾患などの治療へ活用されることが期待され、現在、臨床応用に向けて様々な研究が勧められているとのこと。
同研究所によれば、HOZOTの活用法として、癌患者自身の血液で抗癌作用を持つ免疫細胞を作り出すことや、癌に抗癌剤を直接運ぶ「運び屋」として利用することが考えられているそうです。
ですが実現にはもう少し時間がかかりそうです。現在、HOZOTが侵入するのは癌細胞全体の20%がやっと。侵入率を100%に近づけるには、今後さらなる研究が必要とのこと。
同研究所研究センター基礎細胞研究部門主任研究員の竹内さんは
「課題を克服し、五、六年後には臨床試験にこぎつけたい」
とおっしゃっているそうです。
実用化が大いに期待されますね。凄い!
「トロイの木馬」型 新抗癌メカニズムを発見! 血液細胞が癌細胞の内部に侵入し、死滅させる現象を確認 [林原グループ]
東京新聞:「トロイの木馬」でがん退治 臍帯血培養の細胞 内部に入り攻撃:科学[TOKYO Web]
(鉄太郎)