阪神9300系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/18 06:21 UTC 版)
塗色をめぐる話題
本形式の車体塗装が読売ジャイアンツのチームカラーに類似していたことから「タイガースの親会社の電車が読売巨人軍をイメージさせるカラーリングというのはいかがなものか」と物議を醸し[注 6]、2001年開催の株主総会でも問題となったほか、川島令三の著書にも取り上げられた[5]。このように話題を呼んだカラーリングであったが、その後の8000系リニューアル車でも採用された。その後も2017年と2018年の2年連続で阪急阪神ホールディングス株主総会にてこの塗色についての質問が株主から呈されており[6][7]、会社側は「(過去にも同じような意見はあったとした上で)次期リニューアルの時には検討したい」と回答している[6]。
その後新造された1000系および、近鉄乗り入れ対応改造された9000系では、ブラック処理された前面に、やや黄色に近いオレンジの「ヴィヴァーチェオレンジ」というカラーリングとなり、阪神タイガースの球団旗に近い色合いとなった。
変遷と現状
9501Fは2001年3月6日に竣工し、同年3月10日のダイヤ改正では正面・側面に記念ステッカーを貼り付け、梅田駅10時00分発の姫路行直通特急から営業運転を開始した。これに伴い3000系3105F + 3106Fを廃車にするとともに、直通特急から準急まで、阪神本線・山陽電気鉄道本線で急行系運用に幅広く充当された。翌2002年2月には9503Fが竣工、これに伴い3107F + 3108Fが代替廃車された。続いて同年9月24日には9505Fが竣工した。この時、車両需給の関係で3111F + 3112Fが予備車として翌年3月まで残ったが、2003年3月16日付けで廃車され、3000系は消滅した。
3000系の置き換え完了および車両需給の関係から、9300系の製造は3本で終了した[3]。
本系列はクロスシート車であるため、近鉄奈良線への乗り入れ運用への対応工事は実施されていないが、近鉄との乗り入れに合わせて他形式車両と同様に従来のバンドン式密着連結器から廻り子式密着連結器への換装を開始した。これは既に阪神しかバンドン式を使用しておらず、1974年以降は製造自体が中止され、廃車発生品の使い回しを何度も繰り返していたが、ついには部品不足となっていたことにもよる。2007年7月下旬には3編成全ての連結器の交換が終了した。連結器の取り付け高さを若干高くしたことから正面下部に切り欠きができている。
デビュー当初は中間車のクロスシート部にはつり革がなかった(扉上部のみ設置)が、2013年時点ではクロスシート部にもつり革が追設されている。
2013年には9401の集電装置が下枠交差式からシングルアーム式に交換され、8月3日に営業運転を開始した[8]。その後2014年に9402が[9]、2015年に9505Fおよび9503Fがシングルアーム式に交換され、9300系は全編成がシングルアームパンタグラフになった[10][注 7]。
2013年秋ごろから、車内案内表示器からランプ点灯式の路線図を撤去する改造が行われ[注 8]、現在全編成撤去が終了している。
2014年から2022年までは、姫路寄り先頭車1号車(9501形偶数番号車)山側に「上り大塩駅ではこの扉は開きません」のステッカーが貼られていた。
編成
2017年4月1日現在、6両編成3本18両が在籍している[11]。
編成は8000・9000系と同じ制御車 (Tc) - 電動車 (M') - 電動車 (M) の3両ユニットを背中合わせに2組連結した6両固定編成で、車両番号の奇数が大阪方、偶数が神戸方に組成される構成も同じである。
← 梅田 三宮・山陽姫路 →
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竣工 | |||||
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Tc1 | M' | M | M | M' | Tc2 | |
9501 | 9301 | 9401 | 9402 | 9302 | 9502 | 2001年3月6日[12] |
9503 | 9303 | 9403 | 9404 | 9304 | 9504 | 2002年3月13日[12] |
9505 | 9305 | 9405 | 9406 | 9306 | 9506 | 2002年9月24日[12] |
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9304
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9404
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9504
注釈
- ^ 3011形のロングシート改造時からでは37年ぶりとなる。
- ^ 山陽5030系も阪神本線のラッシュ輸送に配慮して横1人-2人配列の転換クロスシートを採用した。
- ^ 普通系車両で当初転倒防止のためセミクロスシートを採用した5001形(初代)を除く。
- ^ 本系列を導入時には既に西宮東口駅が廃止されていたため、同駅部分は当初から省略されている。また、白浜の宮駅の表示部分は直通特急の臨時停車を考慮して当初から設けられていたが、2008年から一部が停車するようになった荒井駅の表示部分は設けられていなかったため、撤去されるまで荒井駅は表示されないまま使用された。
- ^ 大阪方先頭で進行方向左側が山側、右側が浜側。
- ^ もっとも、1リーグ時代の巨人軍には阪神電鉄が、タイガースには読売新聞が互いに持合いの形で主要株主として名を連ねていた(ライバル球団の株式を保有することは現在は禁止されているが、当時は無協約時代ゆえに可能だった)ほか、読売新聞の大阪進出の際には阪神電鉄が大阪市北区野崎町の社屋用地を仲介する等、企業としての読売新聞と阪神電鉄は良好な関係である。
- ^ 後に9000系のパンタグラフもシングルアーム式に交換されたが、1000系・5550系・5700系(関節が神戸・姫路方向き)と9300系・9000系(関節が大阪・奈良方向き)では向きが逆になっている。
- ^ 機械そのものを取り替えず、スクロール表示部のみ窓を開けた化粧板で隠す手法が取られた。
出典
- ^ a b 小松克祥「車両総説」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。37頁。
- ^ a b 福田裕「阪神電気鉄道9300系」『鉄道ピクトリアル』2001年4月号、63頁。
- ^ a b c d e f 木下和弘「阪神電気鉄道 現有車両プロフィール2017」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。265頁。
- ^ a b 福田裕「阪神電気鉄道9300系」『鉄道ピクトリアル』2001年4月号、65頁。
- ^ 『鉄道新車レビュー Vol.1』170p, 中央書院、2003年。
- ^ a b “阪神電車はなぜ巨人カラー? 株主総会で株主が質問、電鉄側の回答は…”. SankeiBiz (産経デジタル). (2017年6月14日) 2018年6月18日閲覧。
- ^ “なんで阪神電車は巨人色? 株主総会で様々な質問”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2017年6月14日) 2018年6月18日閲覧。
- ^ 阪神9300系9401号車の集電装置がシングルアームに - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2013年8月7日
- ^ 阪神9300系9402もシングルアームパンタグラフに - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2014年2月16日
- ^ 「阪神電気鉄道 現有車両履歴表」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。291頁。
- ^ 『鉄道ファン』2017年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2017 車両配置表」
- ^ a b c 「阪神電気鉄道 現有車両履歴表」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。290頁。
- ^ a b c d e f https://railf.jp/news/2022/12/24/180000.html
- ^ a b https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_17736.html
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