情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

20mSvの被ばくによる癌死の確率は1000人に1人とみなすべきであることを原子力安全委員会が認めた

2011-05-01 09:11:15 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 先日、文科省が福島県に指示した、校庭での線量が年間被ばく想定値20mSvとされるまでは校庭の利用に制限を加えないという考え方に基づくと、仮に1年間20mSvぎりぎりの状態が続いた場合、1000人に1人が癌死する確率であるとみなすべきであることを、原子力安全委員会が昨日の会見で認めた。

 これまで原子力安全委員会は、年間20mSvの被ばくは健康に問題がないという見解を示してきたが、それが偽りであったことを認めたわけだ。

 原子力安全委員会がさまざまな放射線防護の根拠としている国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection: ICRP)によると、1Sv(=1000mSv)被ばくした場合の致死率は5%。そして、その割合は線量に比例する(2Svなら10%、5Svなら50%、10Svなら100%)。これは、原子力安全委員会も認めてきた。

 ところが、原子力安全委員会は数百mSvの範囲になると、比例はしないという説明をすることで、100mSvも健康上問題ないし、20mSvはなおさら安全だという趣旨の説明をしてきた。

 確かに、低レベル線量においては、直線的な比例はしていないのではないか、という学説があることは間違いない。そのような学説が生まれるのは、1000人に1人レベルの確率である場合、ほかの要因による増減(食習慣の変化など)に隠されてしまう可能性があり、被ばくが影響しているかどうかを明確に判断することが困難になるからである。

 この点について、フランス医学・科学アカデミーは、100mSv以下の低線量域でのリスク評価に用いることに対して疑問を投げかけている(http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/20050824.html)。

 これに対し、米国科学アカデミーは、「放射線被曝には、これ以下なら安全」といえる量はないという内容のBEIR-VII(Biological Effects of Ionizing Radiation-VII、電離放射線の生物学的影響に関する第7報告)を発表している(http://blog.goo.ne.jp/capitarup0123/e/ac9dfc3b1ddab68ddc5840e1bfff63c9)。

 このような状況のなか、原子力安全委員会が依拠するICRPは、直線的なモデル、つまり、これ以下なら安全という量はないことを前提としたモデルによることを明らかにしている。

 そのあたりを昨日の記者会見で詰めたところ、原子力安全委員会は、直線的なモデルに基づいてリスクを考えるべきであることを否定せず、説明が不十分であったことを認めた。

 安全な方向で考えるならば、米国科学アカデミー及びICRPの考え方によるべきであることは当然である。

 「安全かどうか分からないけど、安全だよ」って言われても困る。福島県の子供たちはモルモットじゃないのだから。

 しかも、憂うべきことに、米国科学アカデミーの上記文献によれば、子供の場合、発がんリスクが高まり、【「オックスフォード小児がん調査」からは「15 歳までの子どもでは発がん率が40%増加する」ことが示されている。これがもたらされるのは、10 から 20mSvの低線量被曝においてである。】との引用がなされている(http://archives.shiminkagaku.org/archives/radi-beir%20public%20new.pdf)。(追記:このデータについては胎児被ばくに関するものだとのご指摘あり。私の調べた範囲では確かにご指摘のとおりのように思われます。)


 今後、政府は各被ばく量についてコメントする場合、確率的には1000人に何人が癌死する可能性がある、ということをきちんと付け加えるようになるだろう。もし、そのような説明をしなかったら、ただちに「安全デマ」だと抗議してほしい。

 ところで、20mSvにおける1000人に1人という癌死の割合を多いと考えるか、少ないと考えるか、人によって違うだろう。

 たとえば、平成21年の交通事故死者数は4914人だ(http://www.npa.go.jp/toukei/kouki/0102_H21dead.pdf)。これを1億2000万人で割ると、交通事故で亡くなる人の割合は0.004%となる。

 20mSv/年の量が1年間継続した場合は、0.1%だから、交通事故の25倍ということになる。

 ここでやっかいなのは、交通事故や喫煙などのリスクは自分である程度コントロールできるが、放射線被ばくはそこに住んでいる限り、なかなか低減できないということだ。

 しかも、ICRP文献によると、チェルノブイリの場合、同じ村でも放射線量に10~100倍の違いがあったということなので、校庭が年間20mSvとなる値となっている場合、近隣ではもっと高い放射線量が存在する可能性があるということだ。

 しかも、木野さんが追及していたように、内部被ばくの問題もある。子供のことだから、埃などを吸い込むことも多いし、食べ物からの内部被ばくも計算する必要がある。

 したがって、それらに関する詳細なデータを開示した上で、それでも、このまま通学させるか、それとも子供のために万一を考えて避難をするかの選択肢を両親に与えなければならない。

 そして、われわれは、そのようなデータを開示するよう政府に求め続けなければならない。

 数年後に、病床の子供たちから、「なぜ、リスクを正確に開示するよう政府に迫らなかったのか」、と問い詰められることのないようにするために…。

  

●日本、特に東北・関東の保護者必読の書●

「ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版」(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html)

「緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用(仮題)=109」
(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15290,76,1,html)







◆東電本社の記者会見は、午前11時~正午から始まる単独会見、午後5時ごろからの統合本部会見の2回となっている。インターネットで生中継と録画配信されている◆

 → ニコ生 http://live.nicovideo.jp/ 

   岩上さんのサイト http://ow.ly/4wCEr



◆以下参考◆


原子炉建屋とタービン建屋の図。クリックで拡大できます。

   ↓

 


【日弁連会長声明】
「東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に関する会長声明」 http://ow.ly/4n21n

●今後想定されるあらゆる事態、並びに、各地の放射能汚染の実情と被曝による長期的なリスクに関する情報、被曝防護に関する情報を正確かつ迅速に国民に提供し、適切な範囲の住民を速やかに避難させるよう求めるとともに、原発の新増設停止、既存原発についても電力需給を勘案しつつ危険性の高いものからの段階的停止を提言



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Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8



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