情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

20mSvで健康被害があることを前提にした施策が求められる~鎖国に走る現政権

2011-05-05 10:23:15 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 原発に関する合同会見が行われるようになって、首相補佐官である細野剛志議員が記者会見を通じて問題点を把握し、改善が図られるようになっている点は評価するべきだと思う。工程表の改定なども含め、少しずつではあるが、情報公開が進んでいるように思える。しかし、もっとも、肝腎な放射線は仮にそれが低い線量であっても健康被害をもたらすものだという点について、政府が従来の危険ではないという見解を改めようとしていないことが問題だ。この点は、あらゆる施策に反映される。仮に年間100mSvまで危険ではないと考えているならば、避難の範囲は極めて限定されることになってもそれは構わないという発想になる。校庭利用の問題だってそうだし、食品の問題だってそうだ(原子力安全委員会は、食品からの内部被ばくは無視してよいという驚くべき見解を維持している)。

 ところが、何度も引用したとおり、現実には、世界で最も多数回の核実験をした経験があり、世界で最も多くの原子炉を動かしている国であるうえ、原爆が投下された長崎、広島の被害者の医学データを最も正確に把握している国であるアメリカの科学アカデミーは、仮に1年間20mSvぎりぎりの状態が続いた場合、成人の1000人に1人が癌死する確率であるとみなすべきであるという見解をとっている。文献「BEIR-VII」(Biological Effects of Ionizing Radiation-VII、電離放射線の生物学的影響に関する第7報告)(※1)に明確に記載されている。

【BEIRⅦ委員会の結論は次のとおりである。電離放射線の被曝とそれによって誘発された人間の固形がんの発生の間には線形の線量-応答関係が成り立つ、という仮説は最近の研究が示す科学的証拠と矛盾しない】


 ※1:原典(抜刷)http://books.nap.edu/catalog.php?record_id=11340 のダウンロードのコーナーから無料で。
    抜刷の日本語訳 http://archives.shiminkagaku.org/archives/radi-beir%20public%20new.pdf


 もちろん、この成人で1000人に1人(子供だとそれよりも数倍危険性が高くなるという見解も出されている)という数字を踏まえても、それよりも地元に残って地域社会を維持することが重要だと考えるならば、それはその人の自由かもしれない。

 問題は、政府がその危険性を押し隠していることだ。

 このブログのタイトルにもある通り、原発の近くに今も住んでいる人は「知らなきゃ判断できない」のだから、政府は少なくとも、米国アカデミーの見解があり、それによれば、年間20mSvの環境では、子供は数百人に1人癌死する可能性があることを広く知らせる必要がある。

 それを隠したままで安全だという政府が行う情報発信は、信用できないということになり、パニックを誘発することにすらなりかねない。

 たとえば、厚労省が発行している「妊娠中の方、小さなお子さんをもっお母さんの
放射線へのご心配にお答えします」というパンフレットを読んでください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014hcd-img/2r98520000014hdu.pdf

 このパンフレットには、まったく、安全だという根拠が示されていない。ここから危険だという数値が書かれていないのに、現状安全だという説明をするのは、国民を愚弄するものだ。国民を馬鹿にしている。この国は民主主義国家ではなかったのか?情報をきちんと提供するのが政府の役割ではないのか?これを翻訳して世界に発信したら、世界は改めて日本の情報発信のひどさに驚くだろう。

 おそらく、海外の人は、子供が年間20mSvの放射線を浴びても健康被害がないと考えている国には足を踏み入れたくないと思うだろう。そんな政府が統治する国では、とても外国人の健康面なんて気遣ってくれないと思わざるを得ないからだ。

 日本政府は、海外の情報を国内に取り入れることを妨害し、外国人が日本に来なくなる…。現政権は、鎖国でもする気なのだろうか?

 

 ●●「1000分の1」について再掲。一部改定●●
 20mSvにおける1000人に1人という癌死の割合を多いと考えるか、少ないと考えるか、人によって違うだろう。

 たとえば、平成21年の交通事故死者数は4914人だ(http://www.npa.go.jp/toukei/kouki/0102_H21dead.pdf)。これを1億2000万人で割ると、交通事故で亡くなる人の割合は0.004%となる。

 20mSv/年の量が1年間継続した場合は、0.1%だから、交通事故の25倍ということになる。
 
 しかも、子供は影響を受けやすい。米国の民間組織「社会的責任のための医師の会(PSR、本部ワシントン)」は、4月29日、次のような声明を発出した(http://ow.ly/4LiZB )=冒頭の画面。

It is unconscionable to increase the allowable dose for children to 20 millisieverts (mSv). Twenty mSv exposes an adult to a one in 500 risk of getting cancer; this dose for children exposes them to a 1 in 200 risk of getting cancer. And if they are exposed to this dose for two years, the risk is 1 in 100. There is no way that this level of exposure can be considered "safe" for children.

「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当である。年間20ミリシーベルトは、成人であっても発言リスクを500人に1人増やす。子供の場合、発がんリスクは200人に1人の増加となる。このレベルでの被ばくが2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となる。このレベルの被ばくが子供にとって安全だとみなすことは到底できない」

●●再掲終了●●


  

●日本、特に東北・関東の保護者必読の書●

「ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版」(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html)

「緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用(仮題)=109」
(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15290,76,1,html)

アメリカ科学アカデミーの文献「BEIR-VII」(Biological Effects of Ionizing Radiation-VII、電離放射線の生物学的影響に関する第7報告)
http://archives.shiminkagaku.org/archives/radi-beir%20public%20new.pdf







◆東電本社の記者会見は、午前11時~正午から始まる単独会見、午後5時ごろからの統合本部会見の2回となっている。インターネットで生中継と録画配信されている◆

 → ニコ生 http://live.nicovideo.jp/ 

   岩上さんのサイト http://ow.ly/4wCEr





◆以下参考◆


原子炉建屋とタービン建屋の図。クリックで拡大できます。

   ↓

 


【日弁連会長声明】
「東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故に関する会長声明」 http://ow.ly/4n21n

●今後想定されるあらゆる事態、並びに、各地の放射能汚染の実情と被曝による長期的なリスクに関する情報、被曝防護に関する情報を正確かつ迅速に国民に提供し、適切な範囲の住民を速やかに避難させるよう求めるとともに、原発の新増設停止、既存原発についても電力需給を勘案しつつ危険性の高いものからの段階的停止を提言



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Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8



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