2011年5月13日金曜日

「原子力緊急事態」:  工程なき「工程表」のデタラメ

「原子力緊急事態」: 工程なき「工程表」のデタラメ

 連休に、石川県の志賀原発の「視察」に行ってきた。「能登原子力センター」にも行った。 原発周辺は、いかにも原発を受け入れてしまった自治体然とした感じだった。

⇒「ストップ!プルサーマル・北陸ネットワーク
北陸電力・志賀原発

 どこもそうだが、「科学としての脱原発」論が広く地元住民の支持を集めるためには、「公共事業としての脱原発」論や「村おこしとしての脱原発」論を構想し、もっともっと議論しながら、理論的に精緻化する必要がある、と改めて痛感した。私自身の脱原発論を豊富化するために、「視察」報告をも交えながら、追々この問題についても述べてみたい。

 さて、先週の週末をピークに、連休中も全国各地で脱原発の取り組みが盛り上がった。6月11日を次のピークとしながら、今後も各地で連続的にさまざまな企画・イベントが準備されている。浜岡原発の全面停止(⇒静岡新聞・浜岡原発特集サイト。「永久停止求め声明 原発住民運動センター」)や、「エネルギー基本計画」の「見直し」も打ち出された。表面的には、日本の「脱原発」に向けた一歩前進であるかのようにも思えるが、実際には「二歩」目に進むためにはかなりの障害がある。ハードルは想像以上に高い、と私自身は考えている。

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原発、安全性高め継続…サミットで菅首相表明へ
 政府は14日、仏ドービルで26、27日に開かれる主要8か国(G8)首脳会議(サミット)で菅首相が表明する「日本の原子力・エネルギー政策に関する将来構想」の骨格を固めた。 原子力発電について、安全性を高めた上での利用継続方針を打ち出すとともに、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの利用拡大を表明する。世界の関心が日本の原発の安全性とエネルギー政策に集まっていることから、首相はG8サミット冒頭でこの方針を表明したい考えだ。
 「将来構想」は、東京電力福島第一原発の事故を教訓に、「2030年の総発電量のうち50%を原子力とする」と想定した日本のエネルギー基本計画を抜本的に見直し、再生可能エネルギーの最大限の活用を目指すことが柱だ。具体的には、大規模な太陽光発電施設の建設や、国立公園での風力発電などを想定した設置基準緩和などを進める。そのために、コストや供給を安定させるための対策の検討を急ぐ方針を示す。
 ただ、資源小国である日本の厳しいエネルギー事情は変わらないため、原子力発電については、「継続的な使用」を明確に打ち出す。今後、各国による資源獲得競争の激化が予想されるため、G8の中で原発推進の立場の米、仏両国と連携し、過度な“脱原発”の流れ(???)とは一線を画す立場を鮮明に打ち出す考えだ。
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⇒「浜岡原発:首相と、原発推進維持図る経産省の同床異夢」(毎日新聞)→私は「同床異夢」ではなく基本的に「同床同夢」ではないかと考えているが、経産省が原発推進路線の転換をはかる意思をもっていないことは間違いない。

 「3・11」以後、丸2ヶ月が経過した今、私たちはもう一度「足元」をしっかり見つめる必要がある。「足元」とは福島第一原発の現状である。
 思い出して欲しいのだが、日本はまだ「原子力緊急事態宣言」下にある。NHKを含め、TVメディアや一部新聞メディアは、紆余曲折を経ながらも、時間がかかっても、福島第一原発「事故」はいずれは「収束」に向うことを自明視したような「報道」がなされているが、本当にそんな呑気に構えてよいのだろうか。「原子力緊急事態宣言」を解除するメドが立たない、このことの深刻さを私たちは、どこまで自覚しているだろう。

 そんな中、気分をいっそう憂鬱にさせる情報が流れ続けている。
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2、3号機もメルトダウンの可能性…東電認める
 東京電力は14日の記者会見で、2、3号機の原子炉について「最悪の場合、1号機と同様のケースが想定できる」と説明し、核燃料全体の溶融(メルトダウン)の可能性を初めて認めた。 1号機では、11日に水位計を調整した結果、炉内の水位が低く、燃料が冷却水から露出して溶けたことが確実となった。2、3号機の水位計はまだ調整していないが、1号機と同じ仕組みのうえ、もともと1号機より低い水位を示している。 ただ、東電は炉内の温度などから、2、3号機は1号機より燃料の損傷が少ないと推定している。(読売)

1号機で最高の2000ミリシーベルト計測
 東京電力は14日、福島第1原発1号機の原子炉建屋1階で、毎時2000ミリシーベルトの放射線量を計測したと明らかにした。作業員の被ばく線量の上限(250ミリシーベルト)を約8分で超える値で、事故後に計測された空間線量の中で最も高い。溶融した燃料がたまっているとみられる圧力容器底部と直結した配管から放射性物質が漏えいしている可能性もあるという。
◇地下に3000立方メートル汚染水
 建屋1階南東角周辺で、これまで線量が未確認だった場所。複数のポイントで毎時800~2000ミリシーベルトの高い線量が確認された。 東電は高い線量の要因について「圧力容器の底部に燃料が落下している影響で配管が傷み、それを通じて周辺に出ているのではないか」と説明。一方、「周辺は今後の工程作業で使う予定がない」として作業工程への影響については否定した。 また、東電は14日、同1号機の原子炉建屋地下1階で、推計で3000立方メートル程度の汚染されたと思われる水が見つかったと発表した。1号機では冷却水が大量に行方不明になっていたが、所在が分かったのは初めて。

格納容器から漏出か…1号機汚染水
 東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋地下1階で14日、行方が分からなくなっていた冷却水が大量に見つかった。1号機では燃料が炉心融解し、圧力容器、格納容器とも穴が開いていると見られており、東電は同日の記者会見で「格納容器やその下部の圧力抑制プールから漏れた水がたまっているのではないか」と推測(???)した。
 東電によると、建屋地下のたまり水は東電社員が13日に1階北西側の階段を下りた際に確認した。水は地下1階部分(高さ11メートル)の半分程度に達していることから、推計で3000立方メートル程度あるとみられる。放射線量などは不明だが、直近の階段上部で毎時72ミリシーベルトあった。地下1階部分には格納容器の下部や、格納容器につながる圧力抑制プールがある。 1号機炉心へはこれまでに1万立方メートルの水を注入したが、このうち5000立方メートル程度の行方が分からなくなっていた。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「水の所在が分かったという意味では前進(???)。高線量ならたまり水の処理を早急に進める必要があるが、現在進めている冷却装置の設置作業を見直す段階ではない」と述べた。

 一方、東電は14日、1号機の原子炉建屋外に設置する冷却装置の搬入作業を公開した。装置は長さ2.3メートル、幅3.6メートル、高さ4メートルで重量は2100キロ。空冷方式で、格納容器内にたまった水を内部で循環させ、その間にファンで水の熱を除去する仕組み。 建屋内にある冷却装置の復旧に時間がかかるため、当面は仮設の冷却装置でしのぐ方針。17日までに計10基導入する予定で、現在は2基の設置作業を進めている。ただ、冷却稼働には、格納容器内の水が配管の位置まで達している必要がある。1号機では格納容器から水が漏れている可能性があるため、東電は水位の確認作業も急いでいる。【毎日・中西拓司、八田浩輔】

福島原発1号機、「冠水」代替案を検討
 東京電力は福島第1原子力発電所1号機で水位の監視を強化する。新たに2台の計器を取り付け、極端に水位が下がった原子炉内の分析を急ぐ。当初は原子炉ごと水で満たす「冠水」を予定したが、水漏れが見つかり計画が成り立たなくなっている。低水位のままで原子炉内を冷やしたり、原子炉建屋に漏れた水を循環させたりするなど代替案の検討に入った。
 1号機は原子炉圧力容器内の燃料棒が溶け落ち、同容器や外の格納容器から大量の水が漏れている疑いが12日に判明した。格納容器に水をためる「冠水」で原子炉を完全に冷やすとした前提が崩れた。 東電は格納容器に新たに圧力計を2台設置し、圧力差から水位を測る方針だ。格納容器の正確な水位を調べ、計画の見直しに役立てる。
 「冠水」の代替案は圧力容器の底にたまった水で燃料を冷やす。注水を毎時8トンから同10トンにして水位を保つ。ただ低い水位から原子炉に冷水を循環させるのは難しい。 また「原子炉建屋に漏れている汚染水を冷却に使うことも考えている」(東京電力)という。原子炉からあふれる水を浄化して戻す案だ。
 従来の「冠水」計画の続行も視野に「セメントを流し込んで止水できないか検討する」(細野豪志首相補佐官)という案もある。1~3号機は来年1月までの安定冷却を目指したが、大幅にずれ込む見通し。17日に工程表を見直す。 一方、3号機では圧力容器の温度が再び上がった。14日午前2時のセ氏120度が同5時に同250.5度になった。午前7時から注水量を毎時15トンに増やして監視を続けている。また東電は14日、2号機の高濃度汚染水を浄化する仏アレバ社の装置を17日に搬入できると発表した。
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圧力容器底に数センチ相当の穴 冷却水、外部に大量漏れ
 福島第1原発1号機の原子炉圧力容器で燃料が溶け落ちたとみられる問題で、東京電力は12日、圧力容器の底に落ちた燃料の熱で配管の溶接部が溶けて複数箇所で小さな穴があき、合計すると直径数センチに相当すると明らかにした。燃料は大半が溶け落ちたとみられる。 これまでの計1万トンに上る注水量に見合う水がたまっていないことから、東電は水が底の穴から外側の格納容器へ漏れ、さらに格納容器やその下部の圧力抑制プールからも原子炉建屋やタービン建屋に大量に漏れているとみており、漏出場所を調べる方針。 溶け落ちた燃料が圧力容器の穴から格納容器に漏れ出た可能性もあるとしている。燃料溶融の時期は不明。経済産業省原子力安全・保安院は、メルトダウン(全炉心溶融)の状態である可能性は「否定できない」とした。
 1号機では格納容器に水を満たして冷却する「冠水」作業を進めていたが、水漏れを受け東電は見直しに着手。17日にこの1カ月の作業実績を踏まえて事故の収束に向けた工程表を再評価して発表する予定で、そのときまでに対策をまとめる。 冠水の見直しは具体的に、毎時約8トンの注水量を増やして水位を上昇させたり、水を循環させる新しい冷却システムのため格納容器から水を取り出す場所を変更したりすることを検討している。(共同)

福島第1原発:1号機圧力容器に穴 工程表の前提崩れる
 東京電力福島第1原発1号機で燃料棒を収めている圧力容器が損傷し、大量の水漏れが起きていることが12日、明らかになった。東電は同日夕、圧力容器の底に合計で数センチ相当の複数の穴が開いている可能性もあるとの見解を示した。17日には同原発事故の収束までの課題を示した新しい工程表を発表するが、現在の工程表で盛り込まれていなかった「圧力容器の破損」という事態に、計画の見直しを迫られることは必至だ。
 先月17日に示された工程表は、6~9カ月以内に原子炉の温度を100度未満の「冷温状態」にすることを目標に、3カ月以内に行う対策の上位に燃料域上部まで格納容器を水で満たす「水棺」の実施を挙げている。燃料のある圧力容器(360立方メートル)に注水し、そこから水をあふれさせて格納容器(7400立方メートル)に冠水させるという手法だ。 ただし、水棺を実現するためには格納容器とその内部にある圧力容器がいずれも健全な状態であることが前提となる。工程表では、1号機の圧力容器破損の可能性については触れられておらず、格納容器についても「微量の蒸気の漏えい」を指摘しているだけだ。

 東電は燃料を冷やすため、毎日150立方メートルの水を圧力容器に注水し、これまで累計1万立方メートルを入れた。しかし、高さ20メートルある圧力容器の水位は高くても4メートルで、格納容器から漏水していることも指摘されている。 圧力容器の底には、燃料の核反応を止める制御棒を駆動させるための装置が貫通しており、溶けた燃料の熱で溶接部に穴が開いた可能性がある。注水量と貯水量との比較などから、東電は穴は複数あり、大きさの合計は数センチ程度と推定した。また、大量の水や水蒸気が圧力容器の損傷部から格納容器側に漏れ出し、さらにその水が格納容器につながっている圧力抑制プールやタービン建屋に漏れ出している恐れがある。
 1号機は2、3号機に比べて冷却に向けた準備が最も進んでいた。「モデル」とされた1号機の新たなトラブルは「6~9カ月」とした日程に影響を与えそうだ。 原子力技術協会の石川迪夫(みちお)・最高顧問は、燃料棒溶融について「冷やされているので(核分裂が連続する)再臨界などの可能性はない」としながら、「燃料棒が溶け落ちたという点では、米国のスリーマイル島原発事故(79年)と同じ状況だ。圧力容器の内部は非常に高温で、溶けた燃料棒は圧力容器の下部でラグビーボールのような形状に変形しているのではないか」とみている。【毎日・中西拓司、足立旬子、岡田英】
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 私は、先月の東電の「工程表」発表に際し、たんなる「気休め表」に過ぎないと書いた。その通りであったことが判明したのである。「工程表」の「前提が崩れた」というよりは、事故収束に向けた「工程」など何も策定できる状態ではなかった、ということだ。

 この事態を受け、17日に東電がどのような「新工程表」を発表するか。
 だまされぬように、厳しい目でチェックする必要がある。