原発と人類は共存できない-福島原発事故で明らかに、そして唐突な「計画停電」への疑問 | すくらむ

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 ※「連合通信・隔日版」(2011年3月15日付No.8437)からの転載です。(★「連合通信」の申し込みはこちら


 核と人類は共存できない/福島原発事故で明らかに/安全神話はやはりウソ


 東日本大地震や津波などの原因で、東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)が放射能物質漏れ事故を連発している。従業員は死傷し、周辺住民が被ばくする深刻な事態をもたらした。安全は確保されていない模様だ。


 国や東京電力は「想定外の津波が来た」と説明するが、通用しない。地震立国である日本では、こうした事態は素人でも予測できた。国や電力業界の責任は語り尽くせないほど重い。


 14日昼に「原子炉を守る外壁が爆発した」という同原発3号機では、東京電力が使用済み核燃料を再利用する「プルサーマル」が実施されていた。プルサーマルは「核の平和利用」を掲げる日本の原子力政策の柱。それが国土や国民を被ばくの危機にさらしている事実は、平和目的でも「核と人類は共存しないこと」を証明している。


 ●反核団体の指摘が現実に


 反核・平和団体は、原発の危険性を再三指摘してきた。しかし、政府と電力業界やメーカーは「安全」の一点張りで、原発の海外販売に積極的だった。


 そうした「神話」にすがっていたからこそ、原子炉を守る非常用装置が働かない状況に慌てふためき、住民避難が遅れたのだろう。テレビの現地報道を見ると、避難住民には防護服も与えられていなかった。政府や東京電力の慢心だ。


 この期に及んでも、政府と東電は「人体に影響はない」「原子炉は壊れていない」と繰り返す。原発敷地内の放射性物質の検出量は1500マイクロシーベルト超と発表したが、兵庫医科大・振津かつみ医師の調査では、この値はチェルノブイリ原発付近で現在確認できる量の150倍。チェルノブイリでは、事故25年後の今も周辺住民が被ばくによる病で命を落とし続けている。本当に安全と言い切れるのか。国民はウソにはだまされない。



 唐突な「計画停電」に疑問/東電措置で首都圏混乱/原発停止だけで電力供給減?


 東日本大地震による原子力発電所の操業停止を受けて、東京電力は3月14日から、首都圏など1都8県の電力供給を止める「計画停電」を始めた。首都圏では電車の運行が滞るなど、経済活動や国民生活に大きな影響を及ぼしている。


 計画停電は前日の13日夜に突如発表。内容は不正確で、東電は訂正を繰り返した。さらに当日になって「やらない」「やはり行う」と説明を何度も翻すありさま。実施者が混乱していては、国民や事業所は迷惑だ。ずさんな計画を追認した菅首相も責任がある。


 反核団体のある幹部は「街頭照明消去など徹底した節電が先決だ。電力業界のトップや原発メーカーが原子力政策を続けようと仕組んだ」とみる。


 その根拠は、日本の電力需要を賄う原発の比率は約3割に過ぎない点だ。地震発生直後の11日こそ首都圏は停電したが、13日には日曜日とはいえ大規模停電に至らなかった。「福島第一原発が放射能漏れを起こし、反原発の国民世論が盛り上がることは確実。それを恐れて、国民に『原発がないと、生活できないぞ』と洗脳しようとしている」(同幹部)と言うのだ。


 東電の現場が混乱する様子を見ていると、推測も的を射ているようだ。計画停電をめぐる政府や東電の対応に今後も注視すべきだ。