原発は貧困者・偽装請負労働者の命を真っ先に奪うビジネス-福島原発事故ふまえ今すぐ脱原発へ | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 私がいつも読むブログのひとつに、伊田広行さん(立命館大学・神戸大学非常勤講師/ユニオンぼちぼち副委員長)のブログ があります。私は、伊田さんの思想に全面的に賛同を寄せているわけではありませんが、福島原発事故について伊田さんが3月19日に書かれた内容には全面的に共感しましたので、その一部を紹介します。(※原発とは関係ありませんが、伊田さんによる以下のベーシックインカム批判は必読です。「ベーシック・インカムの議論で浮わつくべきでない」 「ベーシック・インカムについて――生活保護制度の拡充(制度変革)型のBIへ」


 ▼伊田広行さんのブログから
 
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/daily/201103/19


 いま、やるべきことをやりながらも、同時に、脱「原発」の声を挙げていく必要もある。原発予算4,329億円を震災対策にまわす必要がある。関西電力、中部電力など、原発中心の政策を今すぐ見直していくべきである。


 今回の状況のなか、自民党の谷垣総裁が 「原発推進はムリ」との見解を表明した。時がたてばどうなるかわかりませんが、財界と一体になって原発を進めてきた自民党の総裁がそう発言するというのは、前進です。原発政策転換を進めていく必要があります。


 一方で、政治的に保守的な立場の者や原発政策を進めてきた者たちが、今はそんな議論をするな、批判はするなといっています。一部、素直な人が、今は団結して事態打開に向けて力を合わせるべきだという、一見もっともそうな意見に賛同しています。


 気持ちはわかりますが、そのような態度が、いままで原発問題も考えず、世間に合わせて、結局裏で社会の権力を持っているものたちが好きにやっていく社会を許してきたのです。


 今のメディアの原発報道についても、自分で根源的に考えない人が多いことを示しています。そこを見直していかないとだめだと思います。戦争中の大本営発表で、日本軍は勝ち続けていると言って、それを聴いて国民が万歳万歳と言っているような側面は、今から見直していくべきです。


 根源的に考えていく、責任を考えるという点で、電力会社にいて原発を支えてきた人、その家族は、自分を被害者とだけとらえるのは間違っていると思います。


 そういうこととは別に、今、前線で命をかけて頑張っている人に感謝し、敬意を示すのは、それとは別に当然のことだと僕は思います。(3/19)


 ――この伊田さんが書かれていることに、私は共感し賛同します。


 このブログ「すくらむ」へのコメントにも、「政治的に保守的な立場の者や原発政策を進めてきた者たちが、今はそんな議論をするな、批判はするなといっています。一部、素直な人が、今は団結して事態打開に向けて力を合わせるべきだという、一見もっともそうな意見に賛同」する声が寄せられていますが、「気持ちはわかりますが、そのような態度が、いままで原発問題も考えず、世間に合わせて、結局裏で社会の権力を持っているものたちが好きにやっていく社会を許してきたのです。」


 それから、コメントを寄せてくださっている方の中に、誤解されている方も多いようですので書いておきます。


 このブログ「すくらむ」は、国公一般の執行委員会が管理しているブログですが、現在十数人いる執行委員がそれぞれ思っていることを自由に書いて行こうというフリーな運営になっています。


 ですので、ブログに書かれていることは、国公一般執行委員会で組織的にオーソライズされ発信されているものではなく、単なる個人の思いや考えが出されているだけのことです。オーソライズされた発信については、機関紙『国公いっぱん』でおこなっています。


 いま原発の問題を取り上げているのは、ブログ管理者の私(ノックオン)です。私の個人的な考えで、連合通信の記事を広く知らせたいと思ったからアップしているだけのことですので御了承ください。


 というわけで、私個人の考えは、「いま、やるべきことをやりながらも、同時に、脱原発の声を挙げていく必要がある」ということです。引き続き、今回は原発で働く労働者の問題について、ネット上で読むことができ、私個人が広く知らせたいと思ったものを紹介します。少しずつ引用して紹介しますが、みなさん、リンク先にアクセスしてぜひ全文を読んでください。


 原発は事故が起こらなくても、労働者を被曝させ、労働者の命と健康を奪い続けて成り立っているビジネスです。そして、一端原発事故が起これば、多くの住民の命と健康もおびやかすことになるのです。


 今回の福島原発事故の影響で、世界各国の原子力政策が見直されつつあります。脱原発の方針を明確に打ち出す国も出てきています。当事者である日本も原発推進政策をあらためて、脱原発へと転換すべきだと思います。(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)


 最初に、首都圏青年ユニオン 書記長の河添誠さんの2つのツイートと1つのリツイートを紹介します。(※河添さんのツイッターアカウントは、 kawazoemakoto です。※ちなみに私も首都圏青年ユニオンを支える会 の会員です)


 ◆消防隊員の会見。本当に大変な仕事だ。感謝。一方、当初、原発内で被爆しながら注水をおこなった原発労働者がテレビに出ることは絶対にない。東電や保安院やマスメディアは、日常的に大量の被爆をしている労働者の存在を隠し続けている。注水作業に従事した末端の原発労働者の会見を開くべきだ。(3/20日 11:54)


 ◆RT @sachiike: 藤田祐幸著「知られざる原発被曝労働-ある青年の死を追って」(岩波ブックレット)より。「原発労働者の場合には、被曝すること自体が労働の本質でありノルマですらある。原子力産業はある一定の人数の労働者が死んでいくことを前提にして存在する。」(3/18 8:37pm)


 ◆森住卓のフォトブログ(3月17日)「福島第一原発作業員へのインタビュー」→ http://ow.ly/4guuZ 。原発作業員は東電社員ではない。東電は注水作業をおこなった労働者の名前・所属を絶対に明かさない。偽装請負の労働者に危険を押しつけていることがわかってしまうからだ。(3/17 11:52pm)


 ▽つづいて、以下は河添誠さんからのメールです。


 ハローワークの求人票を転載しているサイトがあり、そこに福島原発作業員の募集が出ていたので、リンクを貼っておきます。


 ↓作業員(福島第1・第2原発)の求人情報
 
http://job.j-sen.jp/hellowork/job_3373229/


 東電と業務委託契約を結んでいる企業だと思われます。


 当然、指揮命令は、東電から受けているので、偽装請負です。


 テレビ報道で「東電の協力企業」という表現で流れているのは、これらの偽装請負企業で、現場の作業員というのは、こうした日雇い労働者です。


 ▽以下、細切れの紹介になりますが、原発で働く労働者の問題を取り上げているサイトです。



 ▼原発で働く人々
  近代的コントロールルームの裏で
  【よくわかる原子力 原子力教育を考える会】
 
http://www.nuketext.org/roudousha.html


 原発で働く労働者は下請け、孫請け…と8代も下の会社に雇われている場合も少なくありません。そのため劣悪な労働条件下、安い賃金で働かされます。例えば電力会社から労働者一人当たり1日15,000円支払われたとしても、中間にいる親方がピンハネするために、実際に労働者が受け取る賃金はそれよりずっと少なくなってしまいます。さらに、被ばくしたり、ケガをした場合は下請け業者が、上の業者や電力会社に気兼ねして握りつぶしてしまい、表に出さないことが通常です。被ばく労働の実態が社会に知られていない原因がここにあります。


 ▼原爆被爆国日本に、刻々と新たな被曝者が加わり続ける
  【イソップ通信】
 
http://blogs.yahoo.co.jp/isop18/59624913.html


 原発被曝労働者にとって、被曝することはそれ自体が労働の本質でありノルマですらある。原子力産業はある一定の労働者が死んでいくことを前提にして存在する。労働者の使い捨てによって成立していると言っても過言ではない。被曝労働者は生きているかぎり発病の中で無権利状態に放置され、その実態は、あたかも現代社会の恥部であるかのごとく闇の中に隠されている。(藤田祐幸著『知られざる原発被曝労働』岩波ブックレットあとがきより)


 ◆差別の上に成り立つ原発


 下請け労働なしに原発は動かない。電力会社を頂点とした原発労働形態は、石炭産業から続く前近代的なものであり、それは、そのまま、差別と搾取の象徴とも言えるだろう。ひ孫請、親方ぐらいまでが、主に技術者で、それ以下が、技術作業員の作業場所の放射能をふき取ったりする除染作業員である。除染作業には、放射線で汚れた服を洗濯する作業(ランドリー)も含まれる。電力社員の被曝量は、全体の5%にしかすぎない。のこりの95%は下請け労働者へ課せられ、さらに最下層の労働者ほど多くの被曝を強いられるという、差別の重構造が存在する。危険は常に弱いものへとしわよせされる。そういう人たちが行う、雑巾がけやランドリー、機器の点検や修理、廃棄物処理作業など、300種類にもおよぶ手作業がなければ、原発は1日たりとも動かない。今、この瞬間にも6万人の人たちが被曝しながら働いている。コントロールルームの人たちが原発を動かしているわけではないのだ。


 ◆この実態が報道されない訳


 日本の原発は、東海1号以外はみんなアメリカから入ってきた。そのルートは、というと世界の2大財閥、モルガン、ロックフェラーからG・E(ゼネラル・エレクトリック)、W・H(ウェスチング・ハウス)を通して、日本の財閥の三井、三菱、住友へ、そして、系列のプラント会社を経て各電力会社へとなっている。日本の原子力グループは5つあり、その構成企業をみると、原子力産業の巨大さがわかる。マスコミにとっては、大スポンサーばかりである。広告料で生きているマスコミが原子力に物を言えない理由がここにある。


 ▼日本の原発奴隷
  【美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会】
 
http://www.jca.apc.org/mihama/rosai/elmundo030608.htm


 福島第一原発には、常に、もう失うものを何も持たない者達のための仕事がある。松下さんが、東京公園で、住居としていた4つのダンボールの間で眠っていた時、二人の男が彼に近づき、その仕事の話を持ちかけた。特別な能力は何も必要なく、前回の工場労働者の仕事の倍額が支払われ、48時間で戻って来られる。(中略)


 日本の原子力発電所における最も危険な仕事のために、下請け労働者、ホームレス、非行少年、放浪者や貧困者を募ることは、30年以上もの間、習慣的に行われてきた。そして、今日も続いている。慶応大学の物理学教授、藤田祐幸氏の調査によると、この間、700人から1,000人の下請け労働者が亡くなり、さらに何千人もが癌にかかっている。(中略)


 原発で働く訓練と知識が欠如しているため、頻繁に事故が起きる。そのような事故は、従業員が適切な指導をうけていれば防げたであろう。「誰も気にしていないようです。彼らが選ばれたのは、もしある日仕事から戻らなくても、彼らのことを尋ねる人など誰もいないからなのです。」と樋口氏は言う。一時雇用者が、原発の医療施設や近くの病院に病気を相談すれば、医者は組織的に、患者が浴びた放射線量を隠し、“適性”の保証つきで患者を再び仕事に送り出す。絶望したホームレスたちは、昼はある原発で、夜は別の原発で働くようになる。


 ▼原発で働いていた平井憲夫さんの意見
  【伊田広行さんのブログ】
 
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1959/
 http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1960/


 私は原発反対運動家ではありません。20年間、原子力発電所の現場で働いていた者です。原発については賛成だとか、危険だとか、安全だとかいろんな論争がありますが、私は「原発とはこういうものですよ」と、ほとんどの人が知らない原発の中のお話をします。そして、最後まで読んでいただくと、原発がみなさんが思っていらっしゃるようなものではなく、毎日、被曝者を生み、大変な差別をつくっているものでもあることがよく分かると思います。


 現場監督として長く働きましたから、原発の中のことはほとんど知っています。


 「安全」は机上の話


 国や電力会社は、耐震設計を考え、固い岩盤の上に建設されているので安全だと強調していますが、これは机上の話です。(中略)


 素人が造る原発


 原発でも、原子炉の中に針金が入っていたり、配管の中に道具や工具を入れたまま配管をつないでしまったり、いわゆる人が間違える事故、ヒューマンエラーがあまりにも多すぎます。それは現場にブロの職人が少なく、いくら設計が立派でも、設計通りには造られていないからです。机上の設計の議論は、最高の技量を持った職人が施工することが絶対条件です。しかし、原発を造る人がどんな技量を持った人であるのか、現場がどうなっているのかという議論は1度もされたことがありません。


 全くの素人を経験不問という形で募集しています。素人の人は事故の怖さを知らない、なにが不正工事やら手抜きかも、全く知らないで作業しています。それが今の原発の実情です。


 例えば、東京電力の福島原発では、針金を原子炉の中に落としたまま運転していて、1歩間違えば、世界中を巻き込むような大事故になっていたところでした。本人は針金を落としたことは知っていたのに、それがどれだけの大事故につながるかの認識は全然なかったのです。そういう意味では老朽化した原発も危ないのですが、新しい原発も素人が造るという意味で危ないのは同じです。


 また、原発には放射能の被曝の問題があって後継者を育てることが出来ない職場なのです。原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクも付けていて、互いに話をすることも出来ないような所ですから、身振り手振りなんです。これではちゃんとした技術を教えることができません。それに、いわゆる腕のいい人ほど、年問の許容線量を先に使ってしまって、中に入れなくなります。だから、よけいに素人でもいいということになってしまうんです。


 また、例えば、溶接の職人ですと、目がやられます。30歳すぎたらもうだめで、細かい仕事が出来なくなります。そうすると、細かい仕事が多い石油プラントなどでは使いものになりませんから、だったら、まあ、日当が安くても、原発の方にでも行こうかなあということになります。


 皆さんは何か勘違いしていて、原発というのはとても技術的に高度なものだと思い込んでいるかも知れないけれど、そんな高級なものではないのです。


 ▼野宿労働者の原発被曝労働の実態

  原発で1週間働き体の具合が悪くなった

  1年間働いた友達は小学生の子ども残し死んだ…
 
http://san-ya.at.webry.info/201103/article_11.html


 下続け孫受けの業者が、清掃等の形でくるわけですが、はじめから原発の仕事だって公募することはまずありません。…仕事に行くときにも、簡単な拭き掃除だということしか教えてもらえなかったと。それで連れて行かれたところが原発の中だったということです。寄せ場や野宿の労働者はおそらく圧倒的にそういう形で連れていかれて、多くの場合は出てくるときに口止めをされているために実態が明らかになっていない。(中略)


 友達の死


 (松本さん(被曝労働体験者)の話――松本さんは原発の清掃労働をしてちょうど3カ月目で体の具合が悪くなりやめた)そしたら最近ね、私の子供がね、浅草にいるんですよ。子供が、「親父さんこういう人から連絡あったけど知ってるかい」って言うんですよ。ああ知ってるよ、なんだい、って。そしたら、死んじゃったよって。なんだい、あんな丈夫で、だるまさんみたいにころころしてたのに。お葬式に行ったんですよ。そしたら、奥さんが泣くばかりでね。子供も下が小学生でねえ。どうしたんだいって聞いたら、あれから一年ぐらい余分にやったんだって。いわゆる白血病になっちゃったんだそうですよ。治んないそうですね。そいで最後のお別れに、お棺の中を見たら、あんなふさふさしてたのがねって、私よりやせちゃっててね、食事も全然受け付けなかったそうですよ。どうだい、奥さん、最後は苦しんだかって聞いたら、苦しんで苦しんで苦しみぬいて逝っちゃったって。正直、私も泣いちゃったですよ。


 またこういう原発の問題が起きてるんですよね。私は、自分らがそういうふうに友達をなくしてるし、原発を経験して、もう治らないって言われた喘息もってるから、これはそういう仕事やった影響だって医者に言われましたよ。一時直す薬はやるけど、もう直らないよって。そういう体ですからね。絶対仲間を行かしちゃだめです。体張っても絶対反対します。


 ▼今も世界中で、生み出され続ける「ヒバクシャ」たち
  被爆医師・肥田舜太郎さん|この人に聞きたい
  【マガジン9】
 
http://www.magazine9.jp/interv/hida/index2.html


 日本にも原子力発電所がたくさんありますが、建物はとても近代的だし、どこもぴかぴか。もちろん「危険なことは一つもない」と説明されています。でも、実際には煙突から出ている湯気にも放射線は含まれているし、海には放射線を含んだ水が排出されている。これについては、「これ以上放射線が含まれていると危険」だという国際的な基準が定められていて、たしかにそれ以内には抑えられているんです。しかし、実はこの基準というのが25年前につくられたもので、それから6回改変されて、そのたびに驚くほど緩くなっている。厳しい基準を守ろうとすると設備投資が必要になって、儲からなくなるというので、アメリカの電力会社などが政府に働きかけて基準を緩めさせたんです。今では、世界中の学者が「こんな基準では意味がない」と言っている。でも日本の原子力発電所は、その基準を「きちんと守っているから大丈夫」だと言っているんです。


 そうして見ていくと、おそらく今、世界の被曝者は1,000万人を超えるのではないでしょうか。にもかかわらず、日本の人たちも、それだけの人が犠牲になっていることはまったく知らされず、ただヒロシマ・ナガサキの話だけを聞かされているというのが現状なんです。