その4 内定、即、プロポーズ

 世界のなかでも、相手に安定した収入を求める傾向が強い日本女性。この原因にはいくつかある。まず、社会システムだ。

「年金、健康保険、介護保険料、扶養手当と、さまざまな面で国が、専業主婦を優遇していることも一因でしょう。誰だって、楽で得するほうに動くのは当たり前のことなんです。しかも見ていると日本の場合は、結婚後学歴の高い女性ほど働いていない。こうなると、課税ベースが少なくなり、日本経済にとってもいいことはない」

 ギリシャ、イタリア、スペイン、アイルランド。いずれも経済危機に陥っている国々だが、もうひとつ共通点があるという。それは日本より、女性の就業率が低いこと。専業主婦が多い国は財政破綻する。一見突拍子もないそんな説も、あながち間違いではない気もしてくる。

「私のかつての同僚でも、主婦をやりながら家で研究するといって大学をやめていった人もいましたからね。大学に所属していれば、高校周りなど、営業活動もさせられる。しかもその横で、偉い先生はふんぞり返って、高い給料をもらっている。だったら、主婦という安定した座を持ちながら、研究していたほうがずっといいと。今彼女は、本を書いたり、非常勤講師をしながら、伸び伸びと研究を続けてます」

 専業主婦の優遇に加え、「偉い先生」の例のような年功序列システムも、まわりまわって女性を結婚から遠ざけている。年金は手をつけずに、子ども手当を削減する。消費税に手をつけずに、所得税に手をつける。さまざまな国の処遇が、現役で働く世代に厳しくなっている。