野田首相は消費税増税を「もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策」と国会で断言していた | すくらむ

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 「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命がけで実行する。書いてないことは、やらないんです。それがルールです。書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか。書いてあったことは4年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。それはマニフェストを語る資格がないというふうに、ぜひみなさん、思っていただきたいと思います」


 これは、2009年の衆院選の際、当時の野田佳彦民主党幹事長代理がおこなった街頭演説の一部です。YouTubeで見ることができますので実物をじっくり見てやってください。→YouTube「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」


 民主党のマニフェストに「消費税を増税する」と書かれたことは一度もありません。ところが、野田首相は今通常国会の施政方針演説で3月末までに消費税増税法案を国会に提出することを表明しました。野田首相自身の言葉どおり、「おかしい」政治家だし、「マニフェストを語る資格がない」政治家になったということですね。


 それで、街頭演説だけじゃなく、国会でもいろいろ言っているんじゃないかと思って調べてみました。


 2005年の衆院本会議で民主党を代表して質問に立った野田議員は、「ポマードで髪の毛を塗り固め、最近はいろいろなことを忘れてうそで顔を塗り固めている方が総理大臣だったころ、消費税を上げ、医療費を引き上げ、定率減税を引き下げて、風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまいました。同じことをまた繰り返そうとしているんでしょうか」と指摘。この言葉は今の野田首相にそっくりそのままかえしてあげなければなりません。


 また野田議員は、消費税増税を「もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策」(2005年衆院)と指摘したり、「消費税増税、特別減税の廃止、医療費の引き上げで9兆円ほどの国民負担になりました。景気の回復局面にあったときに、言ってみれば風邪から治りかけてきたときに冷たい水を浴びせて肺炎になってしまって、その後の日本経済はえらい目に遭ったという教訓があります」(2004年衆院)などと国会で述べています。


 野田議員自身が指摘しているように橋本政権による消費税増税など9兆円の国民負担増は「もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策」でしたから、日本経済は「肺炎」になってしまいました。


 今回の野田政権による消費税増税などの国民負担増は、日本経済を「肺炎」にした橋本政権時の1.8倍の16兆円です。加えて、下のグラフにあるように橋本政権時(1997年)より労働者の賃金は大きく低下し貧困層が増加しています。

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 このような状況の中で橋本政権時の1.8倍もの国民負担増を強行するのは誰がどう考えても「もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策」です。日本経済は「肺炎」よりさらに重い病に伏せることになります。


《※以下「国会議事録」から野田佳彦議員の質問記録です》


 ▼衆議院 本会議(2005年1月25日)
  野田佳彦議員(※民主党を代表しての質問)


 私は、景気の腰折れあるいは消費の冷え込みにつながるのではないかと強い懸念を持っていますが、そこで思い起こしていただきたいのは、九七年当時のことであります。


 今国会でも恐らく焦点の人になるでありましょう、政治と金との問題で焦点の人になるはずである、ポマードで髪の毛を塗り固め、最近はいろいろなことを忘れてうそで顔を塗り固めている方が総理大臣だったころ、消費税を上げ、医療費を引き上げ、定率減税を引き下げて、風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまいました。同じことをまた繰り返そうとしているんでしょうか。


 ▼衆議院 財務金融委員会(2004年10月26日)

  野田佳彦委員の質問


 要は、年金財源論としてスタートしたけれども、今や一般財源の可能性も考えているという、可能性の示唆をされたんだろうと思います。私自身は、年金財源論としては、例えば民主党の場合だと、国庫負担を三分の一から二分の一へ上げるときに、これは歳出カットが財源論なんですね、極めてクリアカットに考えているんですが、今本音が出たところだと思いますが、ねらいはそうだとしても、この時期にこういう増税の路線が、今日本の経済の状況、景気を見ると議論できる環境だとお話しになりましたけれども、果たしてそうなのか。


 これは定率減税だけではなくて、十月一日から厚生年金の引き上げもありました。年末には配偶者特別控除の年末調整の問題も出てきますし、来年も国民年金の引き上げとかいろいろあるわけで、この流れというと、ちょうど九七年から八年のころの、今また話題になっている元総理大臣が内閣を持っていたころであって、消費税増税、特別減税の廃止、医療費の引き上げで九兆円ほどの国民負担になりました。景気の回復局面にあったときに、言ってみれば風邪から治りかけてきたときに冷たい水を浴びせて肺炎になってしまって、その後の日本経済はえらい目に遭ったという教訓があります。


 そのことはよく考えて進めなければいけない話で、財政規律を回復するという理屈だけの話ではそれはわかるんですが、そうではなくて、よく経済をにらんで、これから本当にデフレからちゃんと脱却できるかどうか。いろいろな総合的な判断があると思うんですが、その辺の御判断をもう一回確認させていただきたいと思います。


 ▼衆議院 財務金融委員会(2005年2月28日)

  野田佳彦委員の質問


 先週の金曜日に、同僚の津村議員が谷垣大臣に橋本内閣の総括について質問をされていました。私はあの議論を聞いていて、改めてああそうだったのかと思ったんですが、第二次橋本内閣で谷垣大臣は閣僚だったんですよね。その後に、小渕内閣で大物政務次官と言われたわけですよね、それで財政のまさにお仕事をされたわけです。そのころの経緯を考えてみると、私は平成八年から平成十二年まで浪人をしていましたのでよくわからなかったんです。考えてみると、このころのことをちゃんと総括することが物すごい大事だなというふうに思いました。


 というのは、今回、法案の審議でかかっています例えば定率減税。これはもともと橋本内閣のころの財政構造改革の失敗から生まれて、その延長線上で小渕内閣で決めたことだと思うんです。特例公債法案も、これも財政構造改革の一環で保険料を流用する流れをつくって、そして時限立法で六年間だったと思いますけれども、その後、期間を延長して、公債の特例等のという、等のところに今法案として保険料の流用事項を入れているということで、たどっていけば全部橋本内閣が淵源であったというふうに思うんです。


 私はこの総括をすることがとても大事だと思っていまして、先ほど浪人中だったと申し上げましたけれども、ちょうど、一挙に増税路線に政府がシフトした後の惨たんたる日本の経済の状況を私も肌をもって感じたというのがあのころの経験でございました。


 私事で恐縮ですけれども、事務所はずっと当然置いておかなければいけないんですが、五階建てのビルで三階に入っていました。一階の布団屋はつぶれ、二階のマッサージ屋は夜逃げし、四階、五階もみんな倒産という中で、辛うじて自分の事務所が維持できたというのが奇跡に近いなと思っているぐらい厳しい経済状況でございました。


 それをたどると、やはり橋本内閣の景気認識がどうだったのか、それを踏まえて一挙に財政構造改革に転換したあのやり方はどうだったのかということを厳しく総括することが、今回の定率減税の半減、その先にある廃止ということに踏み切っていいのかどうかという大事な議論ではないのかなと私は思っています。


 そこで、当時、これは私の言葉で言うともっと過激な言葉になってしまって、本会議でも議事録削除の要求が橋本さんについては出ていますので言いませんで、イギリスのタイムズに出た論文をちょっと読み上げたいと思います。タイムズの九八年一月十三日付なんですね。「日本がアジアにもたらした新しい混乱 方向転換だけが崩壊を食い止められる」という論文なんですけれども。


 「将来、アジアの“奇跡”経済を荒れ地にしてしまった大恐慌についての歴史が書かれるとしたら、一人の男が二通りの書き方をされるだろう。ひとつは、へまを犯した被告人として、もうひとつは、アジア大陸から政治的・社会的腐敗を一掃したヒーローとして。その男は日本の首相・橋本龍太郎である」という非常に皮肉めいた書き出しから始まりまして、「アジアの金融危機の連鎖反応を大きくした触媒は、九七年四月、橋本政権によって行われた大増税である。この増税政策は、一九三〇年のスムート・ホウリー関税法以来、先進資本主義国で行われたもっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策といわれることになろう」というところで、これは読み上げればずっとこういうばり雑言的な批判なんですね。まさに、国民経済に与えた影響を含めると、それぐらい厳しい総括が必要だったろうと私は思います。当時の閣僚として、大臣はどのように総括をされているんでしょうか。(※国会議事録はここまで)


(※橋本内閣による消費税増税を「もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策」と指摘する部分は引用ですが、野田氏自身が「これは私の言葉で言うともっと過激な言葉になってしまって、本会議でも議事録削除の要求が橋本さんについては出ていますので言いませんで、イギリスのタイムズに出た論文をちょっと読み上げたいと思います」と言っているように、「議事録削除の要求」をかわすための引用であって、野田氏自身の当時の「私の言葉」と同じものと考えていいと思います)


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)