麻生太郎氏の集大成発言「ナチスの手口学べ」は人権抑圧の戦争国家ねらう自民党憲法改正草案と同根 | すくらむ

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 きょうの『東京新聞』に、麻生太郎副総理兼財務相が発表したナチス発言撤回に関するコメントの全文が掲載されています。

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013080202000155.html


 麻生太郎副総理兼財務相が発表したナチス発言撤回に関するコメントの全文は次の通り。


 7月29日の国家基本問題研究所月例研究会における私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である。


 私は、憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては、喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。私がナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。ただし、この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい。


 これに対して『毎日新聞』のサイトには「麻生氏ナチス発言:米国のユダヤ系人権団体が反発」という次の記事が掲載されています。
 
http://mainichi.jp/select/news/20130802k0000e010207000c.html


 麻生氏の発言に抗議していた米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・ロサンゼルス)のエイブラハム・クーパー副所長は1日、毎日新聞との電話インタビューに応じた。麻生氏の発言撤回コメントについて「民主主義プロセスの重要性を話すなら、なぜナチスを例示したのか、今もまだ不可思議だ」と述べ、追加説明を促した。


 「麻生氏の発言撤回は妥当であり、安倍政権が内閣として(ナチスを肯定しないと)公式見解を示したことは非常に重要だ」と一定の評価をしたうえで語った。


 麻生氏がコメントで、国民的議論が欠落した「悪(あ)しき例」としてナチスに言及したとする説明について副所長は「(講演で)正反対のことを話そうとした。もう少し説明してもらいたい」と割り切れない心情を示した。


 また、日本維新の会の橋下徹共同代表が1日、麻生氏を擁護する文脈で「行きすぎたブラックジョーク」との認識を示したことに対し「到底受け入れられない。広島、長崎、ナチス、大虐殺でジョークが入り込む余地はない」と批判した。


 今回の麻生氏の発言全文は以下の朝日新聞サイトがあげています。
 
http://www.asahi.com/politics/update/0801/TKY201307310772.html


 昨日の会見で、麻生氏は結局「ナチス政権を例示としてあげたこと」だけしか撤回していません。それも、「喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげた」「ナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえている」のが「真意だ」と言っているわけですが、実際の発言部分は以下です。


 (靖国神社参拝は)昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。


 上の発言から分かることは、ナチスの改憲手口から学べということです。その成果から学べと言うからには、ナチスを否定するどころか肯定しているわけです。「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のエイブラハム・クーパー副所長が指摘しているように、麻生氏は「正反対のことを話そうとした」というのが「真意」です。そもそも言ってもいない「正反対のこと」を「撤回」しても内外の世論は納得しないでしょう。


 麻生氏の真意は、国民に騒がれて反対運動なども起きないよう、誰にも気づかれないうちに改憲してナチスのような人権抑圧戦争推進国家をつくりたいというものでしょうが、実際のナチスの手口は、ナチス自らが国会議事堂に放火し、共産党に罪をなすりつけ、共産党、社民党などを非合法化し1党独裁体制をつくり、その過程で、ヒトラーは全権委任法によってワイマール憲法を機能停止に追い込むという暴力と弾圧によったものでした。なので、麻生氏の発言は矛盾しているのですが、ナチスの例示を撤回しただけですむものではないでしょう。


 それから、麻生氏は、この「ナチスの手口を学べ発言」をする前段で、「憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。」とも述べています。麻生氏が「何十時間もかけて、作り上げた」と自慢する「自民党憲法改正草案」とはどのようなものなのでしょうか? ここはとても分かりやすい秋原葉月さんの「自民党改憲案『“超”口語訳』」から以下いくつか紹介します。


 ▼秋原葉月さんの「自民党改憲案『“超”口語訳』」から一部を紹介【※( )内は私のメモです】
 
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1372.html
 http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1051.html
 http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1523.html


 第三条(国旗及び国歌)


 日の丸君が代は永久に不滅です。これに忠誠を示さないやつは、しばきたおす


 (「ジークハイル」「ハイル・ヒトラー」と忠誠を示さないやつは、しばきたおす、というのと同じですね)


 九条の二(国防軍)


 「日本軍」復活。


 統帥権は内閣総理大臣が持つよ


 「公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動」もやるよ。


 政府に反対するデモなんかは「公の秩序」に反するので、これからは軍隊が弾圧するからそのつもりで。


 (ゲシュタポには「予防保護拘禁」と称してその場の判断で令状なしで国民を自由に逮捕して強制収容所へ送れる権限が与えられた byウィキペディア「ナチス・ドイツ」)


 軍事裁判所復活


 これによって軍事に関することは今の裁判所は関与できなくなるかもね。暗黒の秘密裁判復活だよ


 (石破幹事長が国防軍に従わなければ軍法会議で死刑にすると明言 しています)


 第十二条(国民の責務)


 この憲法で決めた国民の権利とか自由はおまえら国民がきっちり頑張って守れよ。但し義務をきっちり果たしたヤツしか権利主張はしちゃいかんな(え?人権と義務は交換条件とちがうぞだって?知らんがなそんなもん)


 それから、国が「これは国家の利益に反するゾ、安寧秩序を害するゾ」って判断したら権利はバンバン制限されるからそのつもりで。(戦前もそうやってきたんだし、これが日本の歴史、伝統、文化を踏まえた人権保障のやり方だから。)


 第十三条(人としての尊重等)


 おまえらを人として尊重するよ。あ、今までの「個人として尊重する」って言い方はやめとくわ。だって前文にもあるように和をもって尊しとなすのが日本の歴史と伝統だ。個人主義は嫌いなんだよ。


 気をつけて欲しい点はね、国民同士の権利と権利がぶつかり合ったときは「まあまあ、ココはお互い譲り合って程よい妥協点見つけようや」って調整しなきゃいけない、基本的にそういうときだけ人権制限するよって、これまでの憲法は言ってきた(これが「公共の福祉」の意味だから勘違いしないでね)


 だけど、今度からはそんなぬるくはないからね。12条にも書いたけど、国が「こんな権利は認めん」って決めたらバンバン権利を制限するからね。


 二十一条(表現の自由)


 みんなで集まって考えたり行動したり、自分の考えを本とかにしたりとかは自由だぜ


 ②だけど、ここからが肝心、よく聞いとけ。


 国が「それは社会秩序に反する」「それは公益に反する」と判断したら、たとえ誰かの権利が侵害されてなくても、集会もデモもブログも出版も、ぜーんぶだめだ。


 ま、どんな権利であろうと、国が「これは国家の利益に反するゾ、安寧秩序を害するゾ」って判断したら禁止だってことは12条、13条でも言ったけど、おまえらの表現行為はこういう規制がかかってるってことを強く重ねて釘刺しとくからな。前の憲法みたいにおまえらに甘くないから、こころしとけよ。


 それから何が「これは国家の利益に反するゾ、安寧秩序を害するゾ」なのか、判断するのは国だからそのつもりで。えっと、二次元ポルノは社会秩序に反するかもなw 反原発デモ、反TPPデモも公益に反するよな・・・www


 そして、秋原さんは、この「自民党改憲案『“超”口語訳』」を紹介しながら、次のように指摘しています。


 今の私たちの憲法を支える三大原理皆さんはよくご存じだと思います。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重ですね。自民党改憲案はその三大原理をひっくり返して、国民主権を軽くし、平和主義をかなぐり捨て、基本的人権を大幅に恣意的に制限できるようにするものです。


 憲法改定というと9条ばかりが取りざたされがちですが、それ以上に恐ろしいのが第三章の人権規定の改変です。戦前の大日本帝国にも人権規定はありましたが、それは「法律の定める範囲内に於いて」のみでしか認められませんでした。ですからあの悪名高い治安維持法という法律でいくらでも国民の人権を狭めて弾圧することが出来たのです。


 今回「法律の定める範囲内に於いて」がちょうど「公益及び公の秩序」にあたります。


 即ち、国が「公益及び公の秩序」に反すると判断すれば、恣意的に人権を制限できてしまう、まさに戦前の治安維持法下と同じ弾圧が可能なのです。この「公益及び公の秩序」による制限は人権規定全般にかかります。


 他にも天皇を元首化したり「奴隷的拘束」を禁じた規定をなくしたり、拷問の絶対的禁止をなくしたり、国家神道復活の道をつくったり、古い家族観を押しつけたり・・


 自民党はQ&Aの中で「現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました。天賦人権説に基づく規定振りを全面的に見直しました。」と述べています。


 天賦人権説を否定するとは、民主国家であることを捨て戦前のような非民主的な弾圧国家に逆戻り、まさにクーデターです。


 以上、秋原さんの指摘にあるように、自民党憲法改正草案そのものがナチス的人権弾圧憲法なわけですね。なので、麻生氏の「ナチスの手口を学べ発言」もしくは「だれも知らないうちに静かに改憲発言」と、自民党が「何十時間もかけて、作り上げた」憲法改正草案の本音は同じようなものだといえるでしょう。


 そのことは、安倍首相が9条改憲を明言したり、石破幹事長が国防軍に従わなければ軍法会議で死刑にするとして戦前の恐怖支配を狙っていること などからも明らかでしょう。


 最後に、参考までに麻生氏語録の中で注目すべきだと私が思うものを以下紹介しておきます。以下を読んでもらえると、今回のナチス発言が、麻生氏の集大成となる発言だということがよく分かると思います。


▼2013年1月21日 社会保障制度改革国民会議 麻生太郎副総理兼財務相


 (終末期は)さっさと死ねるようにしてもらわないと


 チューブの人間だって、私は遺書を書いて「そういうことはしてもらう必要はない、さっさと死ぬ」と渡してあるが、そういうことができないと、あれ死にませんもんね、なかなか。


 死にたい時に、死なせてもらわないと困っちゃうんですね、ああいうのは。いいかげんに死にてえなと思っても、とにかく生きられますから。


 しかも、その金が政府のお金でやってもらうというのは、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと、総合的なことを考えないと、この種の話って解決がない。


▼2011年11月4日 学習院大学での講演


 (海外での武力行使を可能にする集団的自衛権について)権利はあるが使ってはいけない、というのは無理がある。世界中で認められていない国はない。


▼2011年4月3日 自民党県議候補の応援に入った北九州市八幡西区で


 (東日本大震災は)世界に誇れるいいチャンスを与えてもらった


 東北縦貫道1本しかないような遅れた道路状況をきっちりつくり直す。せっかく泥がウワーッと田んぼになって、あれをもとに戻すくらいだったら、そのまんま住宅地に工場に、変え方はいろいろある。


 新たに東北をつくりかえる。経済力、技術力だけかと思ったら、やっぱり日本は倫理観がすごい、日本はやっぱり教育水準、民度が高いと、世界に誇れるいいチャンスを与えてもらった、それくらいの発想の切り替えをやって、いまから東日本を大復興させる、そのためには西日本が頑張らないといけない。


▼2009年8月23日


 「金ないのに結婚するな」で済ます麻生首相 - 正社員も非正社員も家族つくれない日本社会

http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10327473347.html


▼2009年7月25日 横浜市内で開かれた日本青年会議所主催の会合あいさつ


 高齢者は働くことしか能がない


 どう考えても日本は高齢者、65歳以上の人たちが元気だ。介護を必要としない人は8割を超えている。その元気な高齢者をいかに使うか。この人たちはみなさんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。80(歳)すぎて遊びを覚えても遅い。遊びを覚えるなら青年会議所の間くらい。60すぎて80すぎて手習いなんて遅い。(高齢者の)働ける才能をもっと使って、その人たちが働けるようになれば納税者になる。


▼2009年3月15日 NHK「総理に聞く」


 (企業献金は)民主主義のコスト


 企業、個人、団体にそれぞれ民主主義を運営するコストを払ってもらわないといけない。有権者10万人にパンフレットを郵送すると約2,800万円かかる。


▼2009年2月3日 衆院予算委員会 麻生太郎首相


 イラク戦争を正当化


 (イラク戦争支持は)今日振り返ってみても、妥当性を失うことはない。日米同盟は日本外交の基軸だ。


▼2008年8月4日 幹事長就任のあいさつで訪ねた江田五月参院議長に対して


 審議をしないとどうなるか。ドイツでは昔、ナチスに一度(政権を)やらせてみようという話になった。


▼2007年7月12日 兵庫県姫路市で街頭演説


 年金不安は「欲の話」


 (消えた年金5千万件の突き合わせで年金受給者は)もっともらえるかもしれない。こらぁ欲の話だろうが。それが、何も、いまあせって電話することない。


▼2007年1月19日 愛知県春日井市で講演


 65歳以上で寝たきり老人や、要介護老人はたった13%。87%は、周りが迷惑するくらい元気が良い。しかも(お金を)持っとる。(高齢者はお金の)使い方が分からない、持っているだけ。年金を貯めることを前提で、年金(制度)をつくったのは日本だけだ。高齢者のお金の使い方を教える商売が、一番良いこれからの商売だ。


▼2006年9月13日 札幌市での総裁選演説


 地球温暖化を心配する人もいるが、温暖化したら北海道は暖かくなってお米がよくなる。


▼2006年7月8日 広島市内での講演


 (北朝鮮のミサイル発射について朝鮮労働党の金正日総書記に)感謝しないといけないかもしれない。


▼2006年1月28日 小泉純一郎首相の靖国参拝について


 (靖国神社に)祭られている英霊は、天皇陛下万歳といった。天皇陛下の参拝が一番だ。


▼2005年11月26日


 「大変だ、大変だ」と言って靖国の話をするのは基本的に中国と韓国、世界191カ国で2カ国だけだ。日本は孤立しているとか、どうでもいいことは気にしなくていい。


▼2005年11月21日 米ブルームバーグ・テレビの番組


 (靖国神社の)遊就館には何度か行ったことがあるが、戦争を美化するという感じではなく、その当時をありのままに伝えているというだけの話だ。


▼2005年11月13日 鳥取県湯梨浜町での講演


 (小泉純一郎首相の靖国参拝について)祖国のために尊い命を投げ出した人たちを奉り、感謝と敬意をささげるのは当然。首相としても簡単に譲るわけにはいかないと思う。


▼2005年10月15日 九州国立博物館開館記念式典での祝辞(麻生氏は当時総務相)


 (日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族、ほかの国さがしてもございません。


▼2003年10月20日 記者会見


 新宿のホームレスも警察が補導して新宿区役所が経営している収容所に入れたら、「ここは飯がまずい」と言って出て行く。豊かな時代なんだって。ホームレスも糖尿病という時代ですから。


▼2003年5月31日 東京大学での講演


 創氏改名は、朝鮮人の人たちが『名字をくれ』と言ったのが始まり。


▼2003年5月31日 東京大学で講演


 安さだけでいったら、核(武装)の方がはるかに安い。ミサイル防衛(MD)の技術はこの10年で恐ろしく進歩した。日本が専守防衛をやるなら、MDを徹底してやった方がいい。


▼2003年1月7日 自民党本部で会見


 基本的には、直間比率を見直さないといけない。(消費税の比率を増やす)広く薄く、が正しい。


▼2001年4月14日 時事通信社などとのインタビュー


 自衛隊(の存在)はみんなが認めている。日本は戦力を保持しないといっても、外国は理解できない。憲法九条二項を「陸海空自衛隊、これを置く」と置き換えればいい。憲法「改正」でなく「修正」が第一歩だ。


▼1983年2月9日 高知県議選の応援演説


 婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった


 東京で美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった。


▼「金はうなるほど持ってる」料亭で1日125万円散財、麻生首相に貧困で苦しむ庶民の痛みわかるのか?
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10145273569.html


(byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)